建設技術者のための読書ノウハウ【Vol.1】本を読むと何が得か

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(14)建設技術者のための読書ノウハウ【Vol.1】本を読むと何が得か

本本を読みなさい、と子どものころからいわれ続けてきたことだろう。読書をすることで仕事の質が上がることは事実だ。しかし実際に読書の習慣がある人は多くはない。

 

今回は読書をすることの重要性を解説しよう。

 

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登場人物
地場建設会社 昭平建設
青木建一 現場担当 25歳
今野真一 係長 30歳
武上幸一郎 工事課長 40歳
岩下厳五郎 工事部長 50歳
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本を読むと何が得か

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岩下;今野くん、青木くんは本を読んでいるかい?
青木;いいえ、ほとんど読んでいないです。まともな本を最後に読んだのは、高校時代かもしれません。
岩下;新聞はどうだ?
青木;新聞も取っていません。スマホでネットニュースを見ているだけです。
岩下;今野くんはどうだ?
今野;僕もほとんど読んでいません。数年前に社長から「もしドラ」(「もしも高校野球の女性マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」)を読むように言われて読んだのが久しぶりのことでした。でも読んでみるととてもおもしろかったですし、勉強になりました。

 

岩下;そもそも本を読むと何が得かわかるかい?
青木;本を読まなくてもここまで生きていますし、あまり必要性を感じません。

 

岩下;これから先の日本では「本を読む習慣のある人」と「本を読む習慣のない人」に二分される。1ヶ月に1冊も本を読まない人は全体の47.5%だという調査がある。つまり2人に1人は本を読んでいない。私の感覚だと、建設業は本を読んでいる人の割合がもっと低いように感じている。
青木;私もそう感じます。周りの人はほとんど読んでいませんね。

 

岩下;ある大学でレポートを書く課題を出したんだ。その際、本を読む習慣のない学生はインターネットで検索してコピペ(コピー&ペースト)して作成した。一方本を読む習慣のある学生は、インターネットでヒットした2冊の参考文献をメモし、図書館へ向かった。そしてその2冊に加えて、関係しそうな本も借りて読んだんだ。
完成したレポートを先生が読むと、インターネットのコピペだけで完成させた学生のレポートは幅広く調査しているけれど、底が浅いものだった。また自分の意見が含まれていなかった。一方、本を借りて作成した学生のレポートはテーマが絞られていて内容が深く、さらに自分の考えが書かれていた。

 

今野;読書をすると自分の意見を持つことができるようになる、ということですね。
岩下;そうだ。与えられた図面のとおりに仕事をするだけでよかった時代は、特に本を読む必要はなかったかもしれない。しかし技術提案や創意工夫など新たな提案を出すことで、工事の質を高めることが求められている現在は、読書をして自分の考えを明確にする習慣は欠かせない

本を読むか読まないかで報酬が決まってくる

読書をする人岩下;本を読む習慣があるかどうかで、収入も変わってくるぞ。
今野;どれくらい違うのですか。

 

岩下;普通に働いていると時給は1,000円から5,000円程度だろう。しかしこれまでの経験に加えて読書から得た知識を踏まえて仕事をすることで、時給1万円から5万円の仕事をすることができるようになる。コピペをして作成したレポートに高い報酬を支払うことはないが、自らの考え方が書かれていて、そこに独創的な内容が含まれておれば、多額のお金を支払っても読みたいと思うだろう
青木;それはそのとおりですね。学生時代のレポートって宿題としてやればいいと思っていました。それに価値を付けるなんて考えたことがなかったです。

 

岩下;さらに本を読むことで成果を出す上で大切な能力が身につく。それは集中力とバランス感覚だ。集中力とは、工事を施工するにあたって、施工計画を立てたり、予算や工程を立てるときに必要だ。ある一定の時間集中して考えないとよい計画を作成することはできない。
計画ができ、施工にかかると必要なのはバランス感覚だ。発注者、協力会社、近隣住民との利害関係を調整し、お互いが納得いく形で折り合いながら工事を進めていくというバランス感覚が欠かせない。
本を読む人にはその時間、集中する習慣が身につく。また様々な著者の本を読むことで、世の中にはいろんな意見があることを知り、それをバランスと取りながら調整する方法の具体例を学ぶことができるためだ。
つまり、本を読む習慣がない人には、集中力とバランス感覚が欠けており、良い工事の施工ができないということだ。

 

青木;本を読むと施工能力があがるなんて知りませんでした。私も読書をすることで、施工管理としての力を上げたいと思います。
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工事の質を上げようと一所懸命に施工してもなかなか達成しないことがある。それを打破するためには読書を習慣づけるのがよい。集中力とバランス感覚を身につけることで、施工能力が飛躍的に向上する。

 

そのためには、課題図書を設定して会社で強制的に社員に読書させることも重要だろう。読書の重要性に気づきたいものだ。

降籏 達生 ふるはた たつお

建設技術コンサルタント。ハタ コンサルタント株式会社 代表取締役。
ハタ コンサルタント株式会社 http://www.hata-web.com/
映画「黒部の太陽」に憧れて熊谷組に入社。ダム工事、トンネル工事、橋梁工事などの大型土木工事に参画。阪神淡路大震災を契機に技術コンサルタント業をはじめる。
建設技術者4万人の研修・育成、1,000件を超える現場指導を手がけ、建設業界からの信頼が厚い。
編集長をつとめるメールマガジン「がんばれ建設~建設業業績アップの秘訣~(http://www.hata-web.com/mail_magazine.html)」は、読者数12,000人を誇る、日本一の建設業向けメルマガとなっている。