協力会社との交渉手法技術営業の進め方【vol.2】誘導話法

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(12)協力会社との交渉手法技術営業の進め方【vol.2】誘導話法

協力会社は交渉で少しでもよい条件を引き出そうと必死だ。そこでひるむと負けてしまう。そのためいつくかの「型」を用意しておき、必要に応じて引き出すとよい。

 

今回は、手ごわい協力会社と交渉する際に効果的な「型」を解説しよう。

本当のところ話法

作業着男性2名交渉ビジネス240180相手が、本当に何を望んでいるのかを知らずに交渉してもうまくは行かない。
そんな時に「本当のところは何ですか」や「とおっしゃいますと」という問いかけをすると相手が深く考えてくれるために、本当の気持ちや本音を知ることができる

 

協力会社Cとの金額交渉の事例でみてみよう。

 

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自分A「この金額でなんとか施工をしてもらいたいのですがいかがでしょうか」
協力会社C「そんな金額ではできないよ。他をあたってくれよ」
自分A「そうですね。厳しい金額ですよね。ところで今何が一番お困りですか」
協力会社C「そうだなあ、やっぱり会社の経営がたいへんだねえ」
自分A「本当のところは何ですか」
協力会社C「仕事の忙しい時と暇な時との差が激しいことだね」
自分A「差が激しい、とおっしゃいますと?」
協力会社C「忙しいときには人手が足りなくなり応援を頼むので出費がかさみ、暇になると職人を遊ばせるわけにいかないので、掃除や倉庫の整理などをさせるのでこれまた出費がかさむんだ」
自分A「そうですか。では、今回の工事は工期に多少の余裕があるので、Cさんの希望する工期で施工するよう心がけますので、なんとかこの金額で施工願えませんでしょうか」
協力会社C「君もいいところをつくねえ。わかったよ。」

 

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人は、本当に望んでいることをかなえてもらえば、他のことは多少、目をつぶるものである。
本当に欲していることを「本当のところなんですか」「とおっしゃいますと」ということばによって聞き出すことがポイントだ。

二者択一話法

自分の主張を繰り返すだけでなく、相手が選びやすく、かつ承諾しやすい選択肢を考えておき、少しずつそれを小出しにすると交渉が前に進む

 

協力会社Dへの見積もり依頼をする際の事例をみてみよう。

 

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自分A「協力会社のDさん、見積もりをお願いしたいのですが、金額は高いけれど利益が出ない工事と、金額は少ないけれど利益が出る工事のどちらがいいですか」
協力会社D「難しい質問だね。やはり利益が出る工事の方がいいな」
自分A「ありがとうございます。では来週から始まる工事と来月から始まる工事のどちらが人の手当がつきそうですか」
協力会社D「来週ちょうど別の工事が終わるのでそちらの方がよいかな」
自分A「ではその工事の概要を送りますので、見積もりよろしくお願いします。」

 

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いきなり「見積もりお願いします」では、「忙しい」で終わってしまう。
二者択一で徐々に選択肢を狭めていくと答えてもらいやすくなる。

イエスイフ話法(はい、ただし・・・)

資料を前に考える男性240180交渉では、断りたい時も、了解したい時も、こちらの返事は「イエス、イフ」(はい、ただし・・・)とする。
「イエス」といって基本的には了解しながら、「イフ」といって相手に譲歩する条件を提示し、当方にとって有利な譲歩を求めるのである

 

協力会社Bと金額交渉をしている事例をみてみよう。

 

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協力会社B「あと50万円見積金額を上げてもらわないと契約できませんよ」
自分A「50万円アップですか。厳しいのですね、、、
はい、わかりました。なんとかしましょう。ただし、工期を1カ月短縮していただけませんでしょうか。そうすれば当社の経費が節約できるのでその金額で発注できます」
協力会社B「今ちょうど人が空いてきているので、50万円上げてくれるのなら工期を1カ月短縮できますよ」
自分A「ありがとうございます。よろしくお願いします。」

 

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たとえこちらが譲歩せざるを得ない状況になっても、その後、相手から当方の譲歩を上回る譲歩を引き出せば、最初に望んだ以上の成果が得ることができる。
あらかじめ譲歩の選択肢を用意した上で交渉に臨むことが大切だ。

 

有利に交渉するために重要なことは自分のペースに巻き込むことだ。
将棋や囲碁に「型」があるように、交渉においても自分の得意な「型」をもち、そこに引き込むことで知らず知らずのうちに有利に進めることができる。

 

今回3つの「型」を紹介したが、さらに多くの型を身につけるとよいだろう。

降籏 達生 ふるはた たつお

建設技術コンサルタント。ハタ コンサルタント株式会社 代表取締役。
ハタ コンサルタント株式会社 http://www.hata-web.com/
映画「黒部の太陽」に憧れて熊谷組に入社。ダム工事、トンネル工事、橋梁工事などの大型土木工事に参画。阪神淡路大震災を契機に技術コンサルタント業をはじめる。
建設技術者4万人の研修・育成、1,000件を超える現場指導を手がけ、建設業界からの信頼が厚い。
編集長をつとめるメールマガジン「がんばれ建設~建設業業績アップの秘訣~(http://www.hata-web.com/mail_magazine.html)」は、読者数12,000人を誇る、日本一の建設業向けメルマガとなっている。