北陸新幹線の開通~豪雪地帯での安定走行の工夫~ | 建設・設備求人データベース

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北陸新幹線の開通~豪雪地帯での安定走行の工夫~

2015年05月29日

平成27年3月14日に北陸新幹線が金沢まで開業しました。
最速で東京 – 富山間が2時間8分、東京-金沢間が2時間28分に短縮されました。

 

図表-1北陸新幹線のルート       出典:石川県「北陸新幹線

 

北陸新幹線の歴史

北陸新幹線は、北陸地域を経由して関東・関西を結ぶ路線です。平成9年10月1日に高崎駅-長野駅間が「長野新幹線」として開業したのが始まりです。
今年、金沢駅まで延伸したため「北陸新幹線」となり、「北陸新幹線(長野経由)」と表記されることになりました。

 

開業から50年以上が経過した東海道新幹線の代替補完としての機能も求められています。

 

北陸新幹線のルート

昭和50年頃、国鉄によって長野-富山間は、北アルプス(飛騨山脈)の直下をトンネルで貫通する短距離ルートが検討されました。
しかし、火山地域の高熱岩盤や大量の湧水、「山はね」(岩盤破壊)の可能性が高く、全長約70kmに及ぶ超長大トンネルを建設することは困難であると判断されました。
その結果、信越本線や北陸本線に沿って上越市などを経由する現在のルートで建設されることになったのです。
それでも、開業した長野-金沢間は、大半が山間地帯であり、ルート中のトンネル率は44%に上ります。

 

東日本と西日本をつなぐ北陸新幹線

北陸新幹線は、JR東日本とJR西日本が協力して運行しています。東京駅-上越妙高駅間がJR東日本、上越妙高駅-金沢駅間がJR西日本の管轄になります。

 

東海道新幹線は、東日本の走行区間が短いため全区間で西日本の60ヘルツに統一されていますが、北陸新幹線では電源周波数の切り替えを行います。
東京-軽井沢50ヘルツ、軽井沢-上越妙高60ヘルツ、上越妙高-糸魚川50ヘルツ、糸魚川-金沢60ヘルツと3回の切り替えが生じています。
北陸新幹線では、両方への対応が可能な車両を使用しています。

 

なお、新幹線の最高速度は、東北新幹線の320キロですが、北陸新幹線は、整備新幹線(*)のため最高速度260キロと定められています。

 

豪雪地帯特有の雪対策

北陸新幹線では、日本有数の豪雪地帯がルートとなっているため、北陸特有の重たい湿った雪への対策が最大の課題です。
冬季も安定した走行をするため、多くの対策が行われています。

 

まず、高架内への積雪を防ぐために、防音壁にひさしを設けて、雪が積もりにくいようにしています。
また、トンネル間の距離の短い区間では、高架に屋根をかけて雪が入らないようにしています。
さらに、高架の橋上・橋下に雪をためるスペースを設けています。

 

橋上では、線路を1メートルかさ上げしたり、線路の横を幅広くしたりして、多くの雪をためることができるようになっています。
温水のスプリンクラーや融雪パネルで雪を溶かす仕組みなども取り入れています。
郊外地域では、除雪車が雪を高架下に落とす方式を採用しています。

 

金沢以西の計画

新幹線の開業で北陸の人や資源が首都圏に取り込まれるストロー現象が懸念されていましたが、現段階では目立った動きはありません。

 

金沢-敦賀間については、平成27年1月に、平成34年度の完成・開業を目指すことが決まりました。
さらに、福井までの早期活用についても検討されることとなっています。

 

敦賀から大阪に至るルートについては、若狭ルート、湖西ルート、米原ルートが候補となっており、決定が待たれています。
鉄道は、車や航空機よりもCO2の排出量が少ないことも大きく評価されています(図表-2)。

 

図表-2CO2の削減効果       出典:石川県「北陸新幹線

 

【用語解説】

整備新幹線(せいびしんかんせん)
整備新幹線とは、全国新幹線鉄道整備法(昭和45年)に基づき、 整備計画が定められた北海道新幹線、東北新幹線(盛岡-青森間)北陸新幹線、九州新幹線(鹿児島ルート・長崎ルート)のことをいいます。東海道新幹線、山陽新幹線、東北新幹線(東京~盛岡間)、上越新幹線は、国鉄等により建設されたものであるため、整備新幹線ではありません。

 

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