危険が伴う建設業の現場
2014年08月19日
建設業は、危険な環境が相手の仕事であり、いつ何が起こるかわかりません。
毎回が新しい現場でもあるため、常に安全への注意が必要です。
建設工事現場の危険性と安全の重要性
建設現場は、足場が悪く危険な場所での作業が多い、重機や危険な道具を扱う作業が多いこともあり、他産業に比べて労働災害が多い傾向にあります。
死亡災害などが発生すると、家族や仲間に大きな苦しみを与えるだけでなく会社にも大きな痛手になります。
現場の工事がストップし、指名停止などの措置が取られます。
建設業の労働災害の現状
建設業における労働災害は、減少を続け、死傷災害については平成10年の38,117人から平成24年には、22,851人と14年間で約40%の減少となりました(図表-1)。
出典:建設業労働災害防止協会「建設業における労働災害発生状況」
死亡災害についても、725人から367人へ約50%の減少となっています。
しかし、建設業就業者が全産業の就業者中に占める割合が8%に過ぎないにもかかわらず、死傷災害の約20%、死亡災害の33%と非常に高い比率を占めています。
平成25年の建設業死亡災害342人中、土木工事が131人(38.3%)、建築工事が160人(46.7%)、設備工事が51人(14.9%)となっています。
災害の種類としては、足場や屋根・屋上、崖などからの墜落・転落が46.8%と最も高く、次いで、パワーショベルやクレーンなどの建設機械や自動車等による事故が多くなっています。
関連業務での事故も
直接の建設作業ではなく、工事現場等における交通誘導等の業務に従事している警備員が、建設機械、運搬機等にはさまれ・巻き込まれて死亡する災害も発生しています。
警備員は、高齢者や女性のこともあり、現場での関係者の細心の配慮が必要です。
建設業の労働災害の課題
かつてに比べると、労働災害は減少してきましたが、近年になってその減少に限界が見えはじめています。
これは、ベテランの作業者や安全担当者が徐々に減っていることや、それに伴って、安全に関するノウハウが伝承できていないためといわれています。
また、会社や現場による安全衛生管理レベルのバラツキや支店と現場、元請と専門工事業者での意識の差も問題なっています。
労働災害を無くすために
労働災害には、ヒューマンエラー対策が重要です。
ヒューマンエラーとは、人為的過誤や失敗のことです。この原因には、経験不足、危険軽視、不注意、連絡不足、省略行動、パニック、錯覚、疲労、中高年の機能低下、単調作業による意識低下などがあります。
建設業の各社では、KY(危険予知)活動、社員・協力会社への安全教育、現場パトロール、安全衛生大会などを行って、労働災害の防止に努めています。
建設業労働安全衛生マネジメントシステム
建設現場の安全管理を行うため、厚生労働省は「建設業労働安全衛生マネジメントシステム(コスモス(COHSMS))」という指針を制定しています。
これは、建設事業者の事務所と現場が一体となり、安全についての「計画-実施-評価-改善」という一連の過程を通じて、継続的・自主的に安全衛生活動を行うものです。建設業の特性を踏まえた安全衛生管理の仕組みです。
コスモスは、建設業労働災害防止協会がシステムの構築と実施状況を評価し、基準に適合していれば認定されます。
平成26年8月1日時点で、大手企業を中心に82企業が認定を取得しています。
建設業の各社には、システムに沿って、安全衛生管理の仕組みを構築することが求められています。