公共水域の水質を守る水質汚濁防止法 | 建設・設備求人データベース

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公共水域の水質を守る水質汚濁防止法

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2014年02月20日

1950年代後半から、日本経済は急速な発展を遂げました。その一方で、大気汚染や水質汚濁などの深刻な公害問題も発生しました。

水質汚濁防止法とは

 水質汚濁防止法は、工場や事業場からの排水を規制するとともに生活排水対策を推進する法律として、1970年に制定されました。それまでは、水俣病やイタイイタイ病に代表される公害への対策として「公共用水域の水質の保全に関する法律(1958年)」や「工場排水等の規制に関する法律(1958年)」が制定され、規制が行われていました。しかし、1960年代になっても公害が継続して発生したため、水質汚濁防止法が制定されました。国民の健康を保護し、生活環境を保全することを目的としています。

水質汚濁防止法の規制を受ける事業場

特定施設を設置する事業場(特定事業場)で、公共用水域に水(雨水等を含む)を排出する事業場や汚水等(処理水を含む)を地下に浸透させる事業場が規制の対象となります。
特定施設とは、カドミウムその他の有害物質もしくは生活環境に関わる被害を生じる恐れがある汚水等を排出する施設です。特定施設の設置に際しては、都道府県知事への届出が必要です。
水質汚濁防止法上の特定事業場は、全国で263,175事業場(平成24年3月末)となっています。数の多い上位の業種は、旅館業、自動式車両洗浄施設、畜産農業、洗濯業などとなっており、上位10業種で全体の76%を占めています(図表-1)。
       出典:環境省「平成23 年度水質汚濁防止法等の施行状況

排水の基準

 排水の基準は、有害物質の種類ごとに定められています。
カドミウムや鉛などの有害物質にかかわる一律排水基準はすべての特定事業場に適用され、BODやSS等の生活環境項目にかかわる一律排水基準は、一日当たりの平均排水量が50m3以上の特定事業場に適用されます。
しかし、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海など、多くの事業所や人口が集積し、しかも閉鎖性の高い水域では、各事業所単位の排水濃度の規制だけでは、水質汚濁が止められません。そのため、こうしたエリアでは、工場、事業所、生活排水中の汚濁物質について、濃度ではなく排出量に着目した総量規制が行われています。

水質事故への対応

 有害物質や指定物質、油を含む水が公共用水域に排出または地下浸透した場合は、直ちに排出・浸透の防止措置を講じなければなりません。
特定施設の届出を行っていなくても、施設の破損などの事故により、施設から有害物質や指定物質を含む水が河川などの公共用水域か地下に排出され、人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがあるときには、同様の措置を行う必要があります。
事故発生時における即時対応の必要性から、事故時の措置を講ずべき漏えい量などの数値基準は設けられていません。人の健康などに被害が生じるおそれがあると認められるときは、直ちに措置を講ずることとなっています。人為的な事故だけでなく、天災等の不可抗力による事故についても同様です。

排水基準違反の状況

 平成23年度には、排出水が排水基準の適合しないおそれがあるとして、12件の改善命令が出されています。指導・勧告・助言等の行政指導は、7,650件に上っています。
 排出基準の超過およびその測定データの改ざんが行われていたケースもいくつか明らかになっています。事業者には、環境意識や法令順守の意識醸成が求められています。

【用語解説】

■有害物質と指定物質
有害物質は、カドミウムなどの人の健康に被害を生ずるおそれがある物質として28種類が定められています。また、 指定物質は、有害物質や油を除き、公共用水域に多量に排出されることにより人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがある物質として56種類が定められています。

■BOD
生物化学的酸素要求量(Biochemical oxygen demand)のことで、最も一般的な水質指標のひとつです。水中の有機物などの量を、その酸化分解のために必要とする酸素の量で表します。
水がきれいであれば微生物が分解するときの酸素の量が少なくてすみ、逆に汚れていれば酸素の量は多く消費されます。この性質を利用して、河川の水質がどれくらい汚れているかを測ることができます。

■SS
浮遊物質(suspended solids)のことで、水質指標のひとつです。水中に浮遊する粒径2mm以下の不溶解性物質の総称です。

■一律排水基準
 環境省令で定めた基準であり、全公用水域を対象とした一律の基準です。これは、すべての特定事業場に適用されます。
 この一律排水基準に対して、都道府県は条例によって上乗せ排水基準を設定することができます。

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