新幹線や高速道路、高層ビル、大型プラントなど…。めまぐるしい早さで日本が発展していった戦後の高度成長期を過ぎ、現在では国内のインフラ整備も一段落。
その一方で、日本経団連が「官民一体での海外インフラ整備」を提言するように、各社が一斉に目を向けているのは、国外の情勢です。

米原子力プラント大手のウェスチングハウスを傘下に収めた東芝の動向に注目が集まっているように、現在は世界的な原発建造ラッシュのまっただ中。同時に、中東を中心とした石油地域では自然エネルギーや水処理などにも関心が高まっています。環境保全という観点では、先日、三菱重工と日立の海外向け都市鉄道システム事業での協業が報道されたように、諸外国では”エコな大量輸送手段”として鉄道整備のニーズが再燃。ほんの少し国外を見渡しただけでも、日本の誇る高い技術力が必要とされる場が数多く見受けられます。

こうした海外に対するインフラ輸出が増加している背景には、海外案件を中心に受注した方が安定性が高いことがあります。途上国では政府がインフラ整備を行う際に国家予算を確保しているほか、先進国からODAの資金供与を受ける場合があります。そのため、国内受注に比べても、遙かに景気に左右されにくい状況があるのです。

また、2010年4~12月期決算での海外事業好調を受け、海外での設備投資拡大を決定したトヨタグループのように、民間企業の海外工場も増加の一途を辿っています。円高の続く昨今では、メーカーは現地生産を増加させることで輸出採算の悪化を和らげる策が取られることが多いため、今後も日本企業の海外工場建設は増え続けることが予想されています。

こうした動きを受けて、プラント・設備関連各社も、海外工事部や海外拠点を続々と設立。海外コンペへの参加を積極化し、海外人材の育成や採用にも力を入れています。プラントエンジニアリング大手の日揮に至っては、新卒採用に、TOEIC750点以上必須という応募基準を新しく盛り込んだといいます。

当然、即戦力となる中途採用の募集も、積極化。中でも、設備・プラント建設の中心となる施工管理/プロジェクトマネージャーと、設計職の募集が増加しています。さらに近年の求人傾向として、経験豊富な50代・60代の施工管理/プロジェクトマネージャーが採用されることもずいぶん多いようです。

現在、日本のインフラ輸出は経済産業省によって成長戦略の要とも位置づけられています。海外求人に挑戦するにはもちろん英語力が必須となりますが、これまでに培ってきた実力を試す意味でも、技術者としての将来性を勝ち取る意味でも、世界は格好のステージと言えるでしょう。