清水建設株式会社は、8月4日に都市型ビオトープ「再生の杜」にて、都市部での生物多様性を確認したことを発表した。2006年4月に同社技術研究所内に建設した都市型の大規模ビオトープ「再生の杜」において、10年間にわたり生物相や植生環境をモニタリングしてきた結果である。都市部の人工的な緑地が生物生息環境を着実に形成し、生物多様性を高めるのである。
同社では、都市部で計画される案件に対して、再生の杜で培ったビオトープ建設技術や維持管理のノウハウ、生物多様性関連技術により、生物多様性に配慮した建設計画を提案していく考えである。
都市部における生物多様性向上の可能性を実証するために建設したビオトープで、規模は面積1,940m2、うち水辺域(池と流水路)が650m2を占める。建設には現地発生土を用いて造成し、その上に埼玉県内の建設現場の表土(畑土)を再利用して20cm~50cmの厚さに盛り、樹木40科106種類、草本43科94種類の計200種の在来植物を植栽した。また、絶滅危惧種のミナミメダカを含む魚類7種を水辺域に放流した。
植物については表土からの出現、風や鳥による種子散布などにより、当初の200種類から296種類に増加したことを確認した。増加種の中には地域の絶滅危惧種も含まれ、タヌキマメ、トチカガミ、タヌキモの3種である。
特に樹木については、たとえば当初3~4mほどだったクヌギは約3倍の12mに、他の落葉樹・常緑樹とも順調に成長し、豊かな樹林を形成している。
昆虫類は建設当初から確認されていたトンボ類やチョウ類など約160種程の繁殖や生息を維持している。
魚類については、カワムツ、ヌマチチブの2種は減少、ミナミメダカなど4種は増加し、生息数が把握しにくいドジョウを除いた全体数としては放流時の約2.5倍に増加したことを確認した。
鳥類については、初期の頃からサギ類、カルガモ、カワセミなど13~16種類が飛来し、採餌場や休憩場として継続的にビオトープを利用していることが確認されてるが、中でも、2年目から毎年、再生の杜を産卵の場としているカルガモの子育て風景は微笑ましく、来館者の注目を集めてる。
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清水建設株式会社 ニュースリリース
http://www.shimz.co.jp/news_release/2016/2016020.html