大成建設株式会社は7日、免震建物用パッシブ切り替え型オイルダンパー「T-Sオイルダンパー」の可動範囲を拡大、国土交通大臣の免震材料認定を取得したと発表した。
立地条件や、規模の異なる建物への適用範囲も広がり、揺れ方の異なる地震に対して適切な免震性能を実現可能にした。
今後、中低層から超高層までの新築・既存の免震建物を対象に、これを積極的に適用し建物の安全性と機能維持の向上を進める計画だ。
東日本大震災後、設計基準の想定を超える長周期地震動の発生が懸念されている。
想定外の長周期地震動では、免震層が大きく変形し周辺擁壁との衝突や、免震装置の損傷などが起きるからだ。
これを防ぐには、免震層の変形を抑制するためにダンパーの抵抗力を大きくする必要があるが、逆に免震層の動きを阻害し、発生頻度の多い中小地震では、十分な効果が得られない。
そこで、着目したのが建物が近接する地域向けのパッシブ切り替え型オイルダンパー。抵抗力を必要に応じて切り替えることができる装置だ。
同装置の可動範囲を従来の30センチメートルから、周辺擁壁などとの緩衝を避けるために必要な80センチメートルまでに拡大。
これにより震度6強以下の揺れに対する免震性能の確保と、それを超える巨大地震や長周期地震動に対する安全性能が両立可能になった。
T-Sオイルダンパーは、ダンパー変位があらかじめ設定した変位を超えると、機械式のシャットオフ弁がオイル流路の一部を塞ぎ、大きな抵抗力に切り替わる。
この仕組みの駆動には、電気などのエネルギー供給は不要で地震発生時にも確実に作動できる。また、電機部品を使用しないため、これらにかかる保守整備も不要だ。
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大成建設 プレスリリース
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