西松建設株式会社は、京都大学大学院エネルギー科学研究科 日下英史助教と共同で、VOCを含有する地下水や工場排水の浄化のために、微細気泡による高効率ばっ気処理装置を開発・実用化した。
同技術は、マイクロ/ナノポーラスセラミック膜によって発生させた微細気泡を用いて、排水中に溶存しているVOCを分離・除去。
従来のばっ気処理では、ブロワーで送気したエアーをエジェクターポンプ等により発生させた気泡によって、液相のVOCを気相へ分離して除去する。この気泡のサイズは1mm以上で比較的大きい。
今回、セラミックモジュールを使用することで1mm未満の微細気泡発生させ、VOCの気液分離効率を大きく向上させることに成功した。同装置は現在、VOC含有排水を排出する事業所において稼働中だ。
VOCを扱う工場の排水や、VOCに汚染された地下水の浄化装置は、ばっ気処理は空気を送気するブロワー、処理水槽および活性炭等のオフガス処理槽があれば、比較的簡単かつ低コストに処理できることから広く普及している。
しかし、目標処理濃度がシビアな場合や、処理容量を増加させた場合、設置面積の大きい処理水槽を複数個設置しなければならず、設置スペースに制限のある工場内や、狭小なVOC汚染サイトでは、処理性能の向上には限界があった。
微細気泡を発生させるセラミックモジュールは6本で1つの処理ユニットを構成し、大きさも280mm×640mm×600mmとコンパクト。
処理性能は、処理ユニットの設置数を変えることで、自由に調整可能。
また、既存のばっ気処理装置に処理ユニットを水槽内に追加・設置すれば、処理装置を複数設置することなく処理性能を向上させることも可能。例えば、実証実験において3立方メートル水槽の既存ばっ気処理装置に3ユニット追加した場合、最大約3倍の処理性能向上が確認できた。
(画像はプレスリリースより)
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西松建設株式会社 プレスリリース
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