株式会社奥村組は、地下にトンネル構造物を構築するシールド工事において、シールド機テール部内のテールクリアランスの安定的なリアルタイム計測を可能とする「テールクリアランス自動計測装置」を開発。
和歌山市建設局発注の下水道シールド工事への適用し、その有用性を確認した。
地下トンネル構造物を構築するシールド工事では、シールド機テール部内でトンネル構造物の外壁部材となるセグメントをリング状に組み立て、これを反力としてシールド機を押し出しながら前方の土砂を削りながら掘り進め、後方に一連のトンネル構造物を構築する。
シールド機とセグメントが同一線形で掘り進められれば、シールド機後部の鋼殻内面とセグメント外面との隙間であるテールクリアランスは、ほぼ均一に保たれる。
しかし、シールド機が先行して方向を変える曲線部のように、互いの線形にずれが生じる場合には、テールクリアランスをバランスよく確保が難しく、セグメントとシールド機テール部のスキンプレートが接触して変形や損傷につながることもある。
このため、テールクリアランスの変化を随時把握して線形のずれが広がる前にシールド機やセグメントの軌道を補正する必要がある。
しかし、従来の人力による計測ではリアルタイムに変化を把握することが困難だった。また近年開発が進んできたレーザー光やカメラによる非接触式の自動計測装置も、注入材の残さいや洗い水などに阻害され計測不能となる場合もあり、安定した計測手法が求められていた。
新たな装置は、ねじりばねで起立するアーム、アーム先端に取り付けたローラータイプの接触子およびアームの回転角度を感知するセンサーで構成し、シールド機テール部のスキンプレート内面の切り欠き部に装備される。
テールクリアランス量の計測はセグメント外面に押し当てたアームの回転角度から自動で割り出し、汚れや水などが散在する環境でも安定的な常時計測ができる。また、計測結果は、シールド機運転室や地上のモニターなどからリアルタイムに確認可能だ。
同社は今後、同装置をシールド工法により築造する管路の品質を確保できる施工管理技術として、全国のシールド工事に積極的に適用・展開する計画だ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
株式会社奥村組 プレスリリース
http://www.okumuragumi.co.jp/