前田建設工業株式会社は、トンネル覆工における一連の作業をシステム化した「覆工マルチ工法」を社内標準として実施工に展開。今回、その1つとしてトンネルクラウン部(天端部)のさらなる品質向上を目的に充填管理システム「HDL工法」を開発した。
コンクリートの品質や耐久性の確保では、強度や密実性が重要なため、「覆工マルチ工法」ではコンクリートの充填性確保と十分な締固めが必要だ。
従来は、施工中の充填状況を近くで目視確認できないことや、打設時間が長くなると継ぎ目周辺にエアーだまりができ、充填不良やジャンカ等が発生しやすかった。
「HDL工法」は、天端部に設置した「スライド式型枠」により、天端部の打設口から圧入したコンクリートの充填状況を確認しながらスライド式型枠を引き抜いていく工法。
スライド式型枠の設置により、覆工マルチ工法に比べ天端部打設口からのコンクリート打設数量を低減しつつ、高い圧力での圧入充填ができる。また、補強鉄筋の有無を問わず複数の打設口から圧入打設できるため、さらに高い充填圧でのコンクリート打設が可能となる。
スライド式型枠は、リアルタイムでの「見える化機能」、「打継ぎ目自動締固めシステム」、「クラウン部巻厚自動検測システム」、「配管切り替えシステム」など多機能型設備として「HDL工法」の核となる。
同工法を、国土交通省九州地方整備局発注の九州横断道(嘉島~山都)高木トンネル新設工事のうち、補強鉄筋のある区間126メートル、補強鉄筋のない区間189メートル間に採用。全区間において天端部並びに施工継ぎ目周辺の竣工時ひび割れを「0」に抑制できた。
また、新工法における施工手順を確立し、覆工本体及び試験体の両方で、超音波による充填具合の確認、一軸圧縮強度試験、透気試験、密度測定、割裂引張強度試験を行い、新工法が各物理特性の面からもひび割れ抑制に効果があることを確認した。
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前田建設工業株式会社 プレスリリース
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