東亜建設工業は21日、港湾構造物の据え付けにおいてリアルタイムで高精度な3次元誘導を可能とした、「高精度リアルタイム3D位置誘導システム」を開発したと発表した。
同システムは、円筒形状の鋼板セルを海底に並べ、隣り合うセルどうしを連結して護岸や岸壁を築造する、港湾構造物を作るうえで代表的な「鋼板セル工法」を対象としたもの。
これまで鋼板セル据え付けの際には、鋼板セル上部に設置したターゲットを自動追尾型トータルステーションで測量し、平面位置と高さ、回転量を割り出したうえで、傾斜計を用いて鋼板セルの姿勢を計測。これらデータを統合して据え付け位置の誘導を行っていた。
しかし、この方法では2~3秒間隔でしかデータの計測ができず、波浪時など鋼板セルが絶えず動いている場合に瞬時の位置を捉えられないのが難点であった。
この問題を解決するため、「高精度リアルタイム3D位置誘導システム」では2台のノンプリズムトータルステーションと傾斜計を組み合わせる方式を採用。最短で0.05秒間隔での計測が可能となったことで、より高精度な据え付けが実現した。
また施工中の誘導画面にも工夫が加わっており、現在の鋼板セルの位置と過去の軌跡を分けて表現することで、その挙動と誘導時の軌跡を立体的に把握することができる。これを鋼板セルの3次元設計モデルと比較することで、視覚的な誘導の行いやすさが向上しているのも特徴だ。
東亜建設工業では同システムについて、既存の3次元挙動監視システムと組み合わせることでさらに質の高い建設生産システムが構築可能であるとしており、今後は現場投入を通じて得られた実績をもとに、さらなる開発を進めていく構えだ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
東亜建設工業 プレスリリース
http://www.toa-const.co.jp/company/release/