大成建設は8日、山岳トンネル工法(NATM)を利用した都市部での施工で有用な、トンネル先行変位計測システム「TN-Monitor(Taisei NATM Monitor)」を開発したと発表した。
従来の場合、トンネルの掘削進路上に地中のインフラ構造物が存在する都市部でのトンネル工事では、地上のビルや道路、建築物基礎等がボーリング調査の阻害要因に。そのため、これらインフラ構造物に対する掘削の影響を監視することが困難であるという課題があった。
こうした課題を解決すべくTN-Monitor(Taisei NATM Monitor)では、トンネル坑内から切羽前方の約20m前方に「SAA」「T-REX」という2つの計測機器を、トンネルの掘削方向とほぼ平行に設置。
これらの計測機器からデータを取得することで、トンネルを掘進する際の前方の地盤の様子を、トンネル全線にわたって詳細かつ安全に把握することが可能となった。
TN-Monitor(Taisei NATM Monitor)で用いる2つの計測機器のうち、「SAA」は沈下分布状況を取得するのに利用。近接するインフラ施設への影響の程度や、断層などの不良地盤の位置や規模が把握できる。
一方の「T-REX」では地盤の押し出し量を計測することができ、トンネル切羽前方における地盤の硬さの評価、また切羽の崩壊を防ぐ補強ボルトの仕様決定につなげることが可能だ。
また、これら2つの計測機器で取得した沈下、変位分布データは即座に整理され、トンネル現場に設置された装置の表示と連動。現場で作業を行う人員間での情報共有が容易に行えるのも特徴の一つとなっている。
大成建設では今後、地盤内における断層などの位置・規模の正確な把握に向け、上下水道配管などインフラ構造物への影響が考えられる土木工事において、同計測システムを積極的に採用していく構えだ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
大成建設 プレスリリース
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/