大林組は3月29日、建物外壁タイルの検査・診断を行う新型外壁検査システムの開発に成功したと発表した。従来の方法と比べ、処理を高速かつ高効率化することに成功している。
建物の外壁タイルに関し浮きやひび割れを検査・診断する場合、作業員がゴンドラに乗りこんだうえでタイルの打診・目視を行い、診断結果を紙の立面図に書き込む方法が広く用いられている。
大林組では以前より、ロボットによる外壁検査システムを開発するなど外壁タイルの検査・診断における省力化・自動化に取り組んでおり、今回の新システムはこれを改良したものだ。
改良された点は大きく分けて3つあり、1つは、旧型システムと比べ自動検査の対象となる範囲を拡大したことだ。建物屋上から吊り下げて検査を行うロボットはこれまで垂直方向にしか移動できなかったが、今回左右に伸び縮みするアームをロボットに取り付けたことで水平方向へ移動範囲が拡大。これまで難しかった、窓や庇などの周辺における検査も可能となっている。
2つ目の改良点として挙げられるのは、タイルの打診検査用機械と目視検査用のカメラを同時かつ連携して動作させることで、稼動の高効率化を実現したこと。検査結果の精度アップと、最大で50%程度の検査期間短縮を同時に達成している。
また3つ目は、診断処理が自動化されることで、報告書作成の省力化が図れることだ。打診検査で取得されたデータは検査と同時進行で解析され、画像や位置情報などとともに保存。専用のソフトを用いることで診断結果を建物の立面図と照らし合わせて表示することができ、とりわけ劣化の多い建物に関しては報告書作成にかかる期間を大きく短縮することが可能だ。
2008年4月に施行された国土交通省の告示に伴い、建物の外壁周りに関する検査と結果報告が義務付けられるなか、経年劣化によるタイルの落下が第三者に危害を加える恐れがあるとして、タイル貼りの外壁に関し信頼のおける診断へのニーズは高まりつつある。
こうした背景を踏まえ大林組では今後、新型外壁検査システムによる検査の提案を推進。また業界における建設技能者不足の現状も鑑み、各種自動化技術を引き続き追及していく構えだ。
(画像はプレスリリースより)
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