2月19日に芝浦工業大学の伊代田岳史准教授は、西武建設株式会社と共同で、人手の届かないコンクリート構造物に、必要な水や補修剤の散布を可能にする仕組みを構築した。建築・土木分野では、近年「点検ドローン」と称されるカメラ撮影や打音調査などへの、ドローンの開発は進められている。
この「点検ドローン」に対し、建物や橋梁のひび割れなどに処置剤を施すようなドローンの開発は、今まで議論も検討も進んでなく前例がなかった。構造物に直接処置を施す「補修ドローン」は業界初の試みだ。
今回、コンクリート材料や構造物の維持管理方法などの研究を進めてきた伊代田准教授が、構造物に対して適切な補修材料や補修方法を行うため、ドローン運用方法に関するアイディアを西武建設に提供し、共同で実験を進めてきた。
製作した試作機は、既存の機体を改造したもので、写真のように機体の下にタンクを装着。2Lのタンクで水や補修材料を蓄え、4本のノズルを用いて散布する。
ノズルは散布角度のほか、水流や水圧の調整も可能。実験では、1平方メートル平均18.3秒での吹き付けを確認。農薬散布ドローンと違い、上下左右細かい調整で、狭い範囲のピンポイント散布が大きな特徴である。
共同開発した試作機は、構造物の維持管理に新たな可能性を示した。伊代田准教授は、今後も散布の精度向上、自律航行を可能にするなどの改良を行う。
さらに、現在活躍中の「点検ドローン」との相互活用・連携や異なる環境の現場に適応した機体を開発、実用化に向け再構築していく。そして、建設業界初となる構造物の維持管理方法の確立を目指す。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
芝浦工業大学 プレスリリース
http://www.shibaura-it.ac.jp/