フジタは25日、シールド掘進管理の高度化につながる「チャンバー内見える化技術」の開発に成功したと発表した。
同社によれば、泥土圧シールド工法では切羽の安定とスクリュウコンベヤからの排土を簡便にするため、切羽に注入した添加材と掘削土砂をチャンバー内で混ぜ合わせ、塑性流動化をはかる必要があるとのこと。
この際、添加材の注入量に気を配り流動性を適切にコントロールすることが求められるものの、従来チャンバー内空間の掘削土砂は隔壁で閉ざされて見えないため、注入量の調整はシールド技術者の経験が頼り。従って、流動性の計測評価を定量的に実施できる方法が求められてきたという。
こうした課題に対しフジタでは今回、曲げ変位および曲げ速度を計測する2種のセンサーを、硬質ゴムへ埋め込み一体化した「曲げセンサー」を用いることで、チャンバー内を可視化することに成功した。
具体的には、採取した土砂をもとに事前評価を行い、グラフ上に流動性の上限と下限となる曲線、ならびに境界領域を設定。あとは曲げセンサーから得られた曲げ変位量と曲げ速度に基づくプロットを随時行うことで、塑性流動状態がどの領域で推移しており、閉塞や噴発の危険がない適正領域に収まっているかを目で判断することが可能だ。
またグラフ縦軸の曲げ変位量に対しては緑・黄・赤の色相で、横軸の曲げ速度に対しては彩度で領域区分を表現する仕組みも搭載。閉塞ぎみの場合は緑、噴発のおそれがある場合は赤、適正領域に収まっていれば鮮明な黄~オレンジといったように、操作を行う技術者は直感的に危険度を把握することができる。
なおフジタではこの「チャンバー内見える化技術」を、昨年7月末にかけて愛知県で実施されていた「岡崎線耐震化送水管布設工事」に投入。排土スクリュウ由来の土砂が噴発・閉塞することを防ぎ、安全性の向上につながる点を確認できたとのことだ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
フジタ プレスリリース
http://www.fujita.co.jp/information/2016/post_347.html