大成建設株式会社は、卵白から製作した生分解性固化材を用いた「ビオハード法枠材」を開発。造成工事区域内で実証試験を実施し、緑化効果、作業性と低コストの実現を確認した。
従来の造成工事に伴う法面緑化では、植生の生育基盤を確保するために、グリッド状に設置したコンクリート、プラスチック、鋼材などの法枠材の中に客土を敷設する方法が一般的だ。
しかし、部材の露出による景観の悪化、部材の重量や長さによる設置作業の手間、維持管理作業の妨げ等の課題があった。
同社は、課題解決のために、卵白を主材料として作製した生分解性固化材「ビオハード」を用いた法枠材を開発。
卵白を用いた部材は、法面に合わせた自由な成形が可能。軽量で運搬しやすく作業効率が良い。自然に土に帰る生分解性は環境に優しくメリットが多い。
約40平方メートルの実証試験区域において、従来品のプラスチック法枠材との比較検証を実施したところ、同法枠材の有効性および優位性を確認できた。
例えば、同法枠材での植生の生育は、2か月目の植被率で90%、生育本数が8,500本/平方メートルであり、生育判定目標値を大きく上回った。
また、枠材は植生が根付く2~3か月後以降に分解を開始。1年後以降には分解した法枠材直上から植生が生育して法面全面を緑化できる。
同法枠材は枠材の長さや形状が調整可能で、斜面の凹凸になじみやすく、従来品のプラスチック法枠材重量の約2/3と軽量。そのため、人力で運搬や設置が可能で、1日1人当たりの施工面積は従来より増加する。
法枠材が分解することで、法面歩行時のつまずきや草刈り機の刃こぼれが低減し、維持管理作業も効率的だ。
同法枠材を組み立て、脱型が容易で繰り返し使える型枠材を使用した場合、材料費と労務費を合わせた1平方メートルあたりの製作コストは、プラスチック法枠材の約70%、コンクリート法枠材の約95%と低減が可能だ。
同社は今後、NETIS(新技術情報提供システム)への登録による普及展開を図り、実施工に向けて量産体制を確立しながら、各種造成工事への提案を行っていく予定だ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
大成建設株式会社 プレスリリース
http://www.taisei.co.jp/