鹿島建設株式会社は、重力式コンクリートダムの合理化施工方法である巡航RCD工法を、さらに高速化する技術を開発。福岡県五ケ山ダム堤体建設工事に適用し、当初計画工程の短縮を達成した。
RCD工法は、重力式コンクリートダムの建設工事の主流で、施工の高速化が進む。
今回の工事では、(一財)ダム技術センターが開発した、打設速度の速い内部コンクリートを、打設速度の遅い外部コンクリートよりも先行して施工し、全体の打設速度を向上させる「巡航RCD工法」を採用。
しかし、全工期を短縮するためには、内部コンクリートを先行して施工する際に発生する端部締固め作業を効率よく行うこと、またコンクリート打設リフト間の中断時間をできるだけ短縮することが課題だった。
今回、開発した技術は主に二つ。プレート型端部締固め機の開発とSP-TOM用ベルトコンベヤ式ディストリビュータの開発だ。
これまで、内部コンクリートの端部締固めは、二面拘束型専用機に法面形状を合わせるための事前整形に時間がかかっていた。
そこで、一面拘束型のプレート型端部法面締固め機を開発し、法面整形用の油圧ショベルを使わず、端部締固めを一面ずつ実施することで施工速度を向上させた。
次にリフトのコンクリート荷受け作業に着目。今回の主なコンクリート運搬設備は、ダム左岸側の傾斜に沿わせた円管を回転させ、コンクリートを連続的に大量搬送できる「SP-TOM」だ。
これまで、SP-TOM搬送管の先端部にダンプの荷受場所を設置するため、その足元にある外部コンクリートが硬化するまでは次リフトの荷受け作業が行えず中断していた。
そこで、旋回可能なベルトコンベヤ式ディストリビュータを新たに開発。外部コンクリートの工程に関わらず、荷受けが可能になり、連続的なコンクリート出荷が可能になった。
新技術を同工事に適用したところ、一つのリフトあたり約29パーセントの打設速度向上と、コンクリート打設全体としては約18パーセントの工期短縮を実現できた。
同社は、この工法を中小規模のダムへの適用も考慮し、さらに技術開発を進め、重力式コンクリートダムの合理化施工に貢献していく予定だ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
鹿島建設株式会社 プレスリリース
http://www.kajima.co.jp/news/press/201511/5c1-j.htm