新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は10月14日、石炭の利用によるCO2を削減させるための技術開発に着手すると発表した。
新たに開発するのは「CO2分離・回収装置」又は、「空気分離装置」が不要となる中小規模の石炭火力発電用のCO2分離型化学燃焼石炭利用技術(ケミカルルーピング技術)。
石炭は低価格かつ安定供給性に優れたエネルギー源で、火力発電の燃料に使われている。しかし、中長期的に石炭火力発電から排出されるCO2を削減するためには、新たな技術による高効率化に加え、CO2を他のガスから分離させて回収して再利用する技術や、回収したCO2を貯留する技術の推進が不可欠だ。
しかしこのためには専用の「CO2分離・回収装置」又は、「空気分離装置」が必要となり、多大なコストがかかることがネックとなっている。
そこで今回のケミカルピーリング技術の開発が決定した。ケミカルルーピング技術は、石炭が燃焼するための酸素を運ぶ媒体である「酸素キャリア」による石炭の酸化反応により、CO2を分離させる技術である。
この技術を使えば専用の「CO2分離・回収装置」又は「空気分離装置」が不要となるため、導入にかかるコストが大幅に低減される。また、流動床燃焼を利用することから、中小規模の石炭火力発電所に最適で、微粉炭燃焼では使いにくい低品位炭やバイオマスを活用できるというメリットもある。
開発では三菱日立パワーシステムズ、石炭エネルギーセンター、エネルギー総合工学研究所、産業技術総合研究所を委託先として、「酸素キャリア」の反応性や耐久性などの評価試験を行い、コストがかからない「酸素キャリア」候補を選定する。
選定結果に基づいてプラント構成の検討を行ったのち、最終的には小型の試験装置を使って有用性を検証する。
(画像はニュースリリースより)
▼外部リンク
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構のニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/100464.html