出光興産株式会社は、国際石油開発帝石株式会社および三井石油開発株式会社と共同で、地熱発電の事業化に向け、北海道阿女鱒岳地域において、構造試錐井の仮噴気試験を開始した。
今回の試験は、井戸の噴気能力(蒸気量)、地下温度、流体の化学成分、井戸周辺の透水性などについて詳細な検証を目的に実施。
2011年に完了した第1段階の調査では、地表調査として地表地質調査、重力探査、電磁探査などを実施。
2012年から16年にかけて第2段階の調査として、構造試錐井の掘削調査、搬入路整備などを行い、地質構造、地下温度、透水性などを調べる。
既にAME-1号井~3号井まで掘削完了し、AME-4号を掘削中だ。
また、温泉モニタリング調査として、近隣の温泉井において、温泉水の温度、湧出量、化学成分をモニタリングする。
今回の仮噴気試験などの調査結果をもとに、第3段階への移行可否を判断し、試験井掘削、生産・還元試験、貯留層能力評価、環境調査などを行う計画だ。
日本地熱協会によると、2015年6月現在、全国に29箇所の地熱発電所が稼働し、合計約52万キロワットの設備容量を持つ。
しかし、近年はインドネシア、ニュージーランド、ケニア、トルコ等で地熱発電が伸び、2015年の調査では、日本はランクを一つ落とし世界第9位の規模となった。
日本において、地熱エネルギーは豊富にあるクリーンな再生可能エネルギーであり、かつ安定的な電源として利用できる特長を有している。このため、地熱発電の普及はエネルギー問題の有効な解決策の一つであると考えられている。
しかし、開発行為が地域や環境へ与える影響を不安視する声もあり、地域との共生と環境との調和は、積極的に取り組まなければならない課題になっている。
そのような状況で、今回の調査試験に対する期待は大きい。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
出光興産株式会社 プレスリリース
http://www.idemitsu.co.jp/
国際石油開発帝石株式会社 プレスリリース
http://www.inpex.co.jp/
三井石油開発株式会社 プレスリリース
http://www.moeco.com/
日本地熱協会 ホームページ
http://www.chinetsukyokai.com/