石狩超電導・直流送電システム技術研究組合は24日、経済産業省から受託していた「高温超電導技術を用いた高効率送電システムの実証事業」に関し、さくらインターネットの太陽光発電所から石狩データセンターへ向けた超電導直流送電を開始したと発表した。
石狩超電導・直流送電システム技術研究組合は、2014年1月に設立された技術研究組合法にもとづく非営利共益法人。同組合の理事長は千代田化工建設の常務執行役員である腰塚氏が務め、その千代田化工建設をはじめ住友電気工業、中部大学、さくらインターネットらが参画している法人となる。
この同組合が経済産業省から委託を受けていた「高温超電導技術を用いた高効率送電システムの実証事業」は、種々の取り組みを通じ高温超電導直流送電システムを実用化するうえでの課題を探るというものだ。
具体的には石狩湾新港地域に設けた送電システムを用い、さくらインターネットの太陽光発電設備から石狩データセンターならびに特殊試験用設備へ送電。この過程を通じて浮上する様々な課題を抽出し、検討を行っていくという内容になっている。
石狩超電導・直流送電システム技術研究組合は今年8月6日、500mの直流超電導送電試験を成功させたことを発表しており、今回の送電開始はこの実験に続く形で行われた。
送電元となるさくらインターネットの太陽光発電所は出力200kWで、直流で発電された電力を交流電力への変換なしに石狩データセンターへ届ける。この電力をデータセンター内にて直流で動作するサーバへ直接送り込むことで、交流・直流の変換ロスに加え送電路のロスを削減し、送電効率をさらに向上させることが可能だと考えられている。
同組合によれば日本の超電導技術は世界でもトップレベルであるほか、その超電導技術を活用した超電導送電は、高い効率を誇る次世代の送電技術として期待が寄せられているという。
世界に先駆けての実証となった今回の送電開始を通じ、同組合では今後超電導技術の実用化へ向けた動きを加速させたい考えだ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
千代田化工建設 プレスリリース
https://www.chiyoda-corp.com/news/pressrelease/
石狩超電導・直流送電システム技術研究組合
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