国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、9月18日、石炭ガス化ガス中に含まれる被毒成分を、高度に除去する「石炭ガスクリーンナップ技術」の開発に着手することを発表した。
近い将来、究極の石炭火力発電技術として、大幅な高効率化・低炭素化を実現する「石炭ガス化燃料電池複合発電」(以下、IGFC)が待ち望まれている。しかし、実現に向けては、石炭ガス化ガス中に含まれ、燃料電池の性能を劣化させる被毒成分の除去が大きな課題として挙げられているという。

IGFCは、石炭をガス化させ、燃料電池、ガスタービン、蒸気タービンの3種の発電形態を組み合わせて発電を行う技術で、NEDOは、約7億円を投じ、電源開発を委託先として、今後2年間、「燃料電池向け石炭ガスクリーンナップ技術要素研究」を行う。
具体的には、石炭ガス化ガスを模擬した燃料による被毒試験により、燃料電池の被毒耐性を評価。また、被毒成分を許容レベルまで除去できる、燃料電池用の石炭ガスクリーンナップシステムの開発を進めることにより、究極の高効率石炭火力発電の実現を目指したい考えだ。
経済産業省によれば、石炭火力は、2030年時点の総発電電力量の約26%を占めるとされる。現在の最新技術である「超々臨界石炭火力発電」の発電効率は約40%。一方、IGFCが実現すれば、発電効率は約55%まで向上し、CO2の排出量を約30%削減することが可能となる。
なお、NEDOでは、2025年頃のIGFCの技術確立を目指し、開発に邁進する方針だ。
(画像はニュースリリースより)
▼外部リンク
NEDO ニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100455.html