株式会社大林組は、超高層ビルの大地震時の揺れを低減するために、「(仮称)新南海会館ビル」の屋上に大型のTMD(チューンドマスダンパー)を設置。制振ダンパーを組み合わせ高い耐震性能を実現し、従来の超高層ビルの設計に比べ揺れを約75%に低減した。

想定される南海トラフ地震では、東京・大阪・名古屋などの大都市圏で長周期地震動が発生する可能性が高い。長周期振動は、震源地から遠く離れた地域にも影響し超高層ビルを大きく揺らすため、被害範囲の拡大が懸念されている。
建物内部に制振ダンパーを設置すれば耐震性能は向上するが、設置できるスペースには制約が多く現実的では無い。
そこで、屋上に大型のTMD制振装置を配置し、これと組み合わせる方法を開発。建物内部の制振ダンパーの数を削減しながらも高い耐震性能を実現した。
TMD制振装置は、建物が揺れると頂部のおもりが建物と逆方向に動いてその揺れを吸収する制振技術。以前から超高層ビルなどに設置され、風や小さな地震の揺れに効果がある。
更に、建物質量に対するおもりの質量比を大きくすることで、建物の揺れを低減する効果が高まり、幅広い周期の揺れに対応。長周期を含む大地震のさまざまな地震動に対して効果を発揮する。
TMD制振装置は、中間フレームを介して2段構成でおもりを支える構造を採用。汎用製品である天然ゴム系積層ゴムとオイルダンパーの使用を可能にした。 また、従来に比べてシンプルな構成をとることで低コストで、かつ既存建物に設置しやすい装置となっている。
同社は、今後も保有する地震対策技術を積極的に提案し、安全・安心な社会の実現に貢献する。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
株式会社大林組 プレスリリース
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