鹿島建設は9月7日、「蛇カゴ」を用いた簡易型の魚道を開発したと発表した。鹿児島県高尾野川のコンクリート製の堰に設置したところ、アユが川をさかのぼっていくのが観測されたという。
「蛇カゴ」は河川工事の護岸などに古くから用いられてきた。かつては竹をカゴ状に編んだものに自然石などを詰めていたが、現在では金網や合成樹脂で作られたネットが用いられている。

河川工事では、水質保全のために水や川に生息する生き物の循環を妨げないことが肝要だ。このため落差工、堰、ダムなどの河川横断構造物には、コンクリート製の魚道が設けられてきた。
しかし、コンクリート構造物の魚道の場合、経年に伴って流れの状況の変化や、土砂の堆積などで魚道として機能しなくなるものもある。
そこで鹿島建設は、河川工事で用いられてきた伝統工法「蛇カゴ」を活用した、新しい「組立式蛇カゴ魚道」を開発した。
素材には、耐久性が高く加工しやすいポリエステルモノフィラメント線亀甲網を採用。小段を形成する蛇カゴ部分と、川を遡上する魚が上段に飛び上がるためのプール部分が一体となった構造が特徴だ。
施工も簡単だ。設置や撤去が数人で、短時間で行するため、コンクリート製魚道10分の1以下のコストで設置できる。「みんなの力ですぐに設置できる魚道」として、地域住民が設置に参加することも可能だ。
今後、鹿島建設ではさらなる改善を施してアユ以外の生物にも適用させ、水域生物の生育、地域振興、自然と共生する国土づくりに貢献する方針だ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
鹿島建設株式会社のプレスリリース
http://www.kajima.co.jp/news/press/201509/pdf/7e1-j.pdf