清水建設株式会社は、原子力発電所の原子炉建屋に打設されている大量なコンクリートの放射化レベルを高精度に評価する廃炉ソリューションシステムを開発。これを日本原子力発電東海発電所の廃炉検討に適用し、実用化した。
廃炉時は、原子炉建屋に打設されたコンクリートの放射化レベルによってその保管義務が厳密に決められている。例えばレベルⅡは300年間、レベルⅢは50年間の保管義務が課せられ、それぞれ特殊な保管の方法や施設が必要となる。
例えば110万kW級の沸騰水型原子力発電所を廃炉にすると、コンクリートの処理や処分費用だけでも、50億円かかると試算される。
そのため廃炉にかかるコストを削減には、コンクリートの放射化レベルを、高いものから放射性廃棄物として扱う必要のないレベルのものまで、精度良く分類することが必要だ。
コンクリートの放射化レベルの決定因子は、原子炉および建屋の形状、コンクリート中の元素成分で半減期が比較的長いコバルトとユーロピウムなどの含有量、原子炉の運転履歴、炉心での燃料の燃焼度、核分裂の状況(中性子の発生量)、生成した放射性物質の半減期などです。
同システムでは、建屋の形状や元素成分で半減期が比較的長いコバルトとユーロピウムなどの含有量、原子炉の運転履歴等の様々な決定因子を検討し、コンクリートの放射化レベルの経時変化を3次元解析する。
評価結果は原子炉建屋のコンクリートの断面で各部位の放射能レベルを色分け表示。更に、コンクリートサンプルの放射化分析を行い評価結果と照合する。その妥当性を評価し、廃炉計画を策定する。
同社の試算では、システムの評価結果をもとに解体計画を立てると、110万kW級の原子力発電所の解体では、高いレベルの発生量を10%削減でき、5億円程度の処理費用の削減ができる見込みだという。
現時点で国内の商業用原子炉の8基が廃炉を決定している。同社は、廃炉ソリューションシステムの必要性をアピールし、廃炉エンジニアリング業務の受注拡大を目指す。
(画像はプレスリリースより)
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清水建設株式会社 プレスリリース
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