天気予報のノウハウを地下に応用
清水建設株式会社は、大規模な地下構造物を建設する際に必要な地下水流動評価に関して、予測精度を改善できる地下水流動解析技術を開発した。
精度の高いモデルの合理的な構築手法
例えば、放射性廃棄物の地下処分施設やエネルギー地下貯蔵施設等では、周辺地域の地下水環境への影響、流入する地下水量を適切に評価する必要がある。しかし、評価はシミュレーションに用いる解析モデルの精度に影響され、予測が実際の観測結果と大きく外れてしまう問題があった。
解析モデルに入力するパラメータの設定要件は複雑なため、これまでは技術者の力量に依存し作業効率も低かった。
「データ同化手法」は、現象の予測が難しいといわれる気象分野で発達してきた技術だが、これを地下水流動解析に応用した点が特徴だ。
パラメータを変化させた多数の解析モデルを使用し、シミュレーションを行い、予測と観測データが近似するように、解析モデルを自動更新するデータ同化アルゴリズムによって、各モデルのパラメータを更新する。
この処理を、観測データを取得するたびに繰り返し、各モデルのパラメータを適正な値に収束させ、精度を高めていく。
性能実験では、従来手法と比べて、解析誤差を約80%低減。また、実際の適用実験では、従来の1/5程度の作業量で高精度の解析モデルを構築できることを確認した。
同社は、今後も本技術の実用化に向けた研究に取り組み、放射性廃棄物地層処分施設等への適用を目指す。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
清水建設株式会社 プレスリリース
http://www.shimz.co.jp/