清水建設は8日、コンクリートの表層品質向上につながる、バイオミメティクス(生物模倣)技術を用いた超撥水型枠の「アート型枠」を開発したと発表した。
このアート型枠は清水建設がコンクリートの美観向上効果、東洋アルミニウムがコンクリート型枠用の超撥水加工素材・加工方法をそれぞれ検討するという、2社の共同開発によって生み出されたもの。
特徴は、表面に蓮の葉の表面機構を模した超撥水層(水をはじく微細な凹凸形状)が設けられていることだ。この効果で、型枠面に到達した気泡はその浮力により、型枠との界面を滑るようにして外へ抜けていく。
通常脱型後のコンクリートには、打込み時に巻き込まれた気泡が型枠との界面に残ることで、表面に気泡の痕が生じる。したがってコンクリートの美観を重視する必要がある場合、打込みの際に振動を加えながら気泡を除去していくものの、通常の型枠では気泡がある程度残ってしまうのが難点であった。
しかし今回新たに開発されたアート型枠は、脱型後のコンクリートに生じる表面の気泡を大幅に抑制。また超撥水層の凹凸が光を乱反射させることで表層の明度が均一に上昇し、明るく色むらのない仕上がりも合わせて実現している。
これら成果によって、アート型枠を用いたコンクリートの構成では、完成後のコンクリートにおける見栄えの美しさが大幅に改善された。これは特に、優れた美観と構造物としての耐久性の両立が求められる打放しコンクリートで威力を発揮するものとみられている。
清水建設では今後共同で開発にあたった東洋アルミニウムと共に、美しさと高品質を両立させたコンクリート構造物を、建築・土木工事の別を問わず提供していく考えだ。
具体的には、建設現場などにおける型枠の超撥水加工を念頭に置いた「超撥水フィルム」「超撥水離型剤」をはじめ、工場設備に超撥水層をコーティングする「超撥水合板」など、アート型枠の普及に向けた技術展開を推進していくとしている。
(画像はニュースリリースより)
▼外部リンク
清水建設 ニュースリリース
http://www.shimz.co.jp/news_release/2015/2015025.html