株式会社大林組は、山岳トンネル工事に「連続ベルコン通過型テレスコピック式セントル」を開発し、国内で初めて、新名神高速道路 野登トンネル西工事に適用した。
近年、山岳トンネルにおける覆工コンクリートの品質向上の重要性が注目されている。
従来の工法では、アーチ部の覆工コンクリートは、1組のフォームを搭載したセントルで2日に1回打設する。このため打設完了から脱型までの養生時間は16~18時間程度と短く、通常のコンクリート構造物が7日間程度養生するのに比べ、乾燥収縮などによるひび割れが発生しやすい。
また、山岳トンネル工事では一般的にダンプトラックで坑内運搬を行う。トラックの頻繁な通行による路盤の損傷や接触災害、排気ガスによる坑内作業環境の悪化が生じていた。
同社はこの課題解決のために、これまでトンネル断面の制約により難しいとされていたテレスコピック式セントルと、連続ベルトコンベヤーの組み合わせを採用。使用機材の形状を変更し実現可能にした。
二組のフォームを使用し、コンクリート打設後のフォームの内側を小さく折り畳んだ別のフォームがくぐり抜けるテレスコ方式。後方で養生しながら前方で次の打設作業を進められる。標準打設サイクルで、フォームの存置期間を60時間以上確保でき長期養生によりコンクリート強度が上がる。
また、テレスコ方式では、二組のフォーム同士をつなぎ合わせながら据え付けることでオーバーラップによるひび割れのリスクも解消。
ダンプトラックの代わりに連続ベルトコンベヤーで運搬を行うことで、切羽作業員を最大25%程度削減。トラックの接触事故などトラブルの回避やトラックの往来による路盤損傷の修復などの手間や時間も削減。排気ガスや巻き上げ粉じんの減少による作業環境も改善できたという。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
株式会社大林組 プレスリリース
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