大林組は5月11日、静岡大学及び有人宇宙システム社と共同で、カーボンナノチューブの宇宙環境曝露実験を開始すると発表した。
大林組が想定する未来の宇宙インフラ建設構想で、カーボンナノチューブが利用できるかどうか、宇宙環境における耐久性の検証を行うもの。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「簡易曝露実験装置(ExHAM)」の利用テーマとして採択され、国際宇宙ステーションにある「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームを利用して行われる。
カーボンナノチューブはアルミニウムの約半分の比重しかない軽量性、鉄鋼の約20倍の引っ張り強度、高度な弾力性、銅の100倍以上の電流密度耐性、銅の5倍以上の高熱伝導性などを有する最先端材料である。
将来的にはカーボンナノチューブ繊維を橋梁などの建設分野、航空機や宇宙機、輸送機器のケーブル材など幅広い用途への利用が期待されている。
しかし、宇宙での使用環境がカーボンナノチューブに及ぼす影響はまだ研究されておらず、紫外線、放射線、原子状酸素などの要素が複合的に影響する宇宙環境下での劣化状況が判断できないのが現状だ。
そこで今回の実験で、直径約20ナノメートルの多層カーボンナノチューブ繊維から作られた試験体を用いて、曝露期間及び曝露位置による劣化状態などを検証する。
検証期間は1年間又は2年間を予定しており、第1回の試験体は、既に今年4月に米国ケープカナベラル空軍基地から打ち上げが完了している。1年又は2年後に試験体を回収し、状態を分析して宇宙環境での影響を調べる予定だ。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
株式会社大林組のプレスリリース
http://www.obayashi.co.jp/press/news20150511_1