鹿島建設は、4月7日、トンネル周辺の地質状況を三次元的に評価できるシステムを開発したことを発表した。
山岳トンネル工事では、工事の安全と安定した品質の確保のために、地山に応じた適切な支保パターンを選定することが重要だ。
しかし、必ずしも地質の変化や断層などを目視確認できるとは限らないため、迅速に、トンネル周辺の地質状況を評価する手法が求められていたという。
今回開発したシステムのメリットは、特別な作業を行うことなく、日常の施工サイクルの中で得られるデータから迅速に地質状況を評価できることだ。
まず、多くの山岳トンネル現場で切羽前方探査として活用されている「削孔検層システム」を利用して、トンネルの周辺に打設するロックボルトの削孔データ「破壊エネルギー係数」を解析。その結果を地球統計学手法によって処理することで、トンネル周辺の地質状況を三次元的に評価するというものである。
これにより、特に悪い地山の分布を任意の方向や断面で示すことが可能となり、地質リスクをより明確に捉えることができるうえ、切羽観察では得られないトンネル周辺全体の地質状況まで把握できることから、想定外の変位や崩落などの防止にもつながるという。
鹿島建設は、このシステムを、「宮崎218号 南久保山トンネル新設工事」の低土被り部の掘削時に適用し、的確かつ迅速に地山状況を評価できることを確認した。
今後は、新システムを発破のための装薬削孔データにも活用し、切羽前方の地質評価も同時に行うことで、トンネル工事の安全、品質向上実現をめざす。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
鹿島建設 プレスリリース
http://www.kajima.co.jp/news/press/201504/