奥村組は、3月3日、地下水汚染の範囲や濃度を高精度に予測する「地下水汚染予測シミュレーションシステム」を開発し、岩手県発注の山田地区災害廃棄物破砕・選別等業務においての実証試験で、性能を確認したことを発表した。
実証試験では、このシステムにより不飽和地盤の透水係数を測定し、地下水汚染の拡散状況をシミュレーション。現地の土壌分析および地下水水質調査結果と対応しており、地下水汚染の拡散状況を高精度で予測できることが判明したという。
「地下水汚染予測シミュレーションシステム」において、奥村組は不飽和地盤における透水係数の測定技術を開発し、広範囲モデルの代表的な解析手法であるオイラリアン・ラグラジアン法(以下、EL法)に改良を加えることで、解析精度の向上を図った。
具体的には、対象地盤の透水性に応じて、段階的に注水圧を変更できる加圧方式を採用。地表面から地盤に加圧注水しながら、深さ方向に設けた測点における含水率の経時変化を測定することにより、不飽和透水係数を推定する。
また、数値計算を実行するうえでの計算時間の間隔に着目。要素ごとに数値分散が生じにくい間隔に自動設定することで、解析精度の向上を実現したという。
地下水汚染の拡散防止対策には、数値解析によりシミュレーションする手法が有効であったが、これまでの方法では地盤モデルの再現性が乏しいというデメリットがあり、EL法を採用しても合理性のある結果を得ることができなかった。
奥村組では、新開発のシステムを、地下水汚染の拡散防止対策を実施するうえで、工期短縮やコスト低減につながる有効なツールと位置付け、今後積極的に提案していく方針である。
(画像はニュースリリースより)
▼外部リンク
奥村組 ニュースリリース
http://www.okumuragumi.co.jp/news/2015/index2.html