低コストでの大型有機ELディスプレイの量産化を実現
地方独立行政法人京都市産業技術研究所(京都市下京区)は2014年9月26日、熱膨張が極めて低いインバー電鋳製品の量産化技術を世界で初めて確立したと発表した。
(画像はプレスリリースより)
電鋳(電気めっき鋳造)とは、素材である母型にめっきを施すことで、母型の形状を忠実に再現した製品を鋳造することができる加工技術。従来、飾り金具やカミソリの外刃などの作製に採用されているが、この特性を活かし、近年では高精度のニッケル電鋳技術を用いて、電子・通信デバイス材料が製造されている。
医療やコンテンツの分野に高精細有機ELディスプレイ
しかし、ニッケルは熱膨張率が高いため、温度変化よってサイズの安定性に問題があり、高精度を要する次世代デバイスには対応しきれないという問題があった。
京都市産技研では、熱膨張係数が鉄やニッケル単体に比べて非常に小さいとされる、鉄とニッケルの合金「インバー」に着目。最適なめっき液成分の開発を行った結果、インバー電鋳製品の量産技術を確立。
この技術を活用した大型・高精細なメタルマスクの生産技術開発など、エレクトロニクス分野の高機能薄膜形成技術の向上や、次世代MEMS(微小電気機械システム)デバイスの開発などへの活用が見込まれる。今後は、京都市内の電子部品製造企業などの研究開発支援を行っていく。
▼外部リンク
低熱膨張インバー電鋳(電気めっき鋳造)技術の確立について – 地方独立行政法人 京都市産業技術研究所
http://tc-kyoto.or.jp/info/news/post-41.html