今月3日、滋賀県は県北部の姉川ダム(米原市曲谷)で、水力発電を始めると発表した。平成14年4月から管理運用を開始した当ダムは、洪水調節と既得取水の安定化と河川環境の保全等を目的としており、発電や利水などその他の用途は含まれていない。
しかし、県土木交通部で管理している全6ダムのうち、唯一のコンクリートダムとなっており、常時満水位からの有効落差約52メートル、10年渇水流量平均約1.0立方メートル毎秒と、通年の水量が豊富で発電に適したダムとなっている。
この姉川ダムで発電を行う場合、ダムの放流バルブ管からの放流水を利用することになる。このため発電設備は、放流バルブ室内にある既設の放流管を改造して設置しなければならず、大規模な工事となる。
事業者は当ダムに水力発電機や導水管などを自前で設置する必要があるが、発電した電力は固定価格買い取り制度で売電できる。県の試算では、想定される年間発電量は約500万キロワット時で、一般家庭約1400世帯分の年間消費電力量が賄えるという。
さらに概算で、年間約1億5千万円の収入を事業者は得られるという。県は、事業者から水の使用量として、年間1千万円の収入を見込んでいる。
事業者の選定にあたっては、災害時対応や資材の地元調達など地域貢献に向けた提案内容も加味する方針だという。2013年3月にまとめた「県再生可能エネルギー振興戦略プラン」では、太陽光や水力などの再生可能エネルギー導入量を17年度には10年度比で7.8倍に、30年度には19.3倍にする目標を掲げている。
さらに隣接する大飯原発をにらみ、「卒原発」を掲げる県は、今月下旬に募集要項を発表し、来年4月をめどに事業者を決定する予定。2016年度から発電を開始する、としている。
▼外部リンク
滋賀県関連資料
http://www.pref.shiga.lg.jp/h/d-kanri/kikaku/happyou/files/h25-11.pdf