製鋼ラインの建設、一時中断
8月19日、共英製綱はベトナム北部鉄鋼事業における設備投資計画の変更を決定。現地法人KSVC社は、平成26年度下期着工・平成28年初頭稼働開始を予定していた製鋼ライン(電気炉)の建設について一時中断する。なお、現在稼働中の圧延ライン(年産30万トン)の操業は現状維持。
需給のアンバランス
背景には、ベトナム鉄鋼産業が抱える国内建設ブーム低迷による建設用条鋼の過剰供給が挙げられる。同国の2013年の鉄鋼総生産量実績は1,080万トンとなり、前年比を1.7%上回りわずかに増加している。その一方建設用条鋼の国内消費量は約500万トン弱で、前年比で9.4%下回っている。
貿易自由化が国内産業を圧迫
そのため、ベトナム国内の中小製鉄会社には稼働率が半分に追い込まれるところもあり、それに加えて中国などから入ってきた条鋼との競合で経営が一層悪化。
さらに、ASEAN諸国-中国を対象とするACFTAの関税引き下げスケジュールでは、2014年より建設用条鋼の輸入関税率を15%に引き下げることとなっており、国内産業を圧迫している。
最近では、ベトナムの鉄鋼製品に対して、米国やカナダ、東南アジア諸国などが反ダンピング(不当廉売)関税を課す動きも相次いでいる。ベトナム国内の鉄鋼業界からはより積極的な防衛策の必要性を訴える声が上がっている。
しかし、合金鋼等の高級鋼材については、ベトナムは輸入に強く依存しており、また、電気炉の原料となる鉄鋼スクラップも輸入に頼っている。そのような同国の鉄鋼業界の現状を鑑み、共英製綱は製綱ライン建設一時中断に踏み切った。
▼外部リンク
共英製綱プレスリリース
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