岩谷産業株式会社は、2015年に一般販売が予定されている燃料電池自動車(FCV)に水素を供給するためのインフラ整備に取り組んでいた。そして、先月14日兵庫県尼崎市に、日本で初めてとなる「商用水素ステーション」が完成したことを公表。
同社では、液化水素製造拠点である株式会社ハイドロエッジからローリーで輸送した液化水素を利用し、燃料電池自動車に供給する「オフサイト方式」を採用。さらに、液化水素の圧縮技術には、ドイツ・リンデ社開発の小型圧縮機「IC-90」を搭載した充てんパッケージを尼崎水素ステーションに採用している。
(画像はプレスリリースより)
同社が採用した小型圧縮機「IC-90」 の特長は、イオン液体の高熱容量、高潤滑性、不揮発性、低溶解性の性質を利用した圧縮機である。外観はコンパクトでより小さなスペースでも設置が可能であり、高効率・高耐久性を有す。
今月2日同社は、2例目となる水素ステーションを、甲府市飯田の県道に面した場所約1000平方メートルに、今年度中に建設すると発表。山梨県内においては商業用の水素ステーションが設置されるのは初めてとなる。
政府は「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)において、2015年のFCVの市場投入に向けて4大都市圏を中心に100ヵ所の水素ステーション(高速道路へも配置)の整備を目標に掲げている。
現在水素ステーションは全国に17カ所。いずれも社会実験用で、一般の人は利用できない。今回、同社が建設した「商用水素ステーション」は、政府が進めるFCVの「世界最速普及」方針を汲むかたちとなった。今後、新たな水素ステーション建設へと政府や地方自治体の支援がどれだけ進むかがカギとなる。
▼外部リンク
岩谷産業株式会社
http://www.iwatani.co.jp/jpn/newsrelease/detail.php?idx=1178