国内の全原発が停止する中、電力各社は電力需給が逼迫(ひっぱく)する夏場を見据え、運転開始から40年以上経過したいわゆる「老朽火力」もフル稼働させて対応する考えだが、今、この老朽火力に建て替えの需要が高まっていることが6日、明らかになった。
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火力発電所の耐用年数は一般的に40年程度とされており、これを上回ると故障などのリスクが高まり、建て替えた方がコスト安とされている。
原発を持たない沖縄電力を除く電力9社の火力発電基は全国に256基あり(長期停止中は除く)、このうち老朽火力発電基に該当するのは67基で、これは全体の4分の1を超えている。
1例として、東京電力が所有する運転期間が40年超の老朽火力発電所の状況を見てみると、鹿島、五井、姉崎、大井、横浜、南横浜、横須賀などが挙げられ、5年内に老朽火力となる老朽火力予備軍の発電所と合わせると9カ所にものぼる。
これらの発電所の火力出力は合計で約1660万キロワットにもなり、これは同社の火力出力の4割に相当する値だ。老朽火力が電力量に大きく影響していることがわかるだろう。
九州電力では原発停止の影響で、運転開始から42年経ち、廃止が決まり停止していた苅田発電所(福岡県苅田町)新2号機を12年に運転再開させたほどだ。
老朽火力にまつわる問題は電力量だけではない。東日本大震災後に老朽火力発電基を酷使したことで、突発的な停止が急増していることも問題となっているのだ。2010年度では101件だったが、13年度には169件まで増加している。
電力各社では今月中設備の総点検を終える予定だが、経済産業省資源エネルギー庁では「老朽火力発電による故障などのリスクは年々高まってきている」と警鐘を鳴らしており、今後、老朽火力の建て替え需要が一層高まることが予想される。
▼外部リンク
経済産業省・資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp/