疲労耐久性が約10倍向上した新合金でビル用制振ダンパー開発

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疲労耐久性が約10倍向上した新合金でビル用制振ダンパー開発

2014年05月14日 23:00

長周期・長時間地震動による変形にも性能維持

株式会社竹中工務店(以下:竹中工務店)、独立行政法人物質・材料研究機構(以下:NIMS)、淡路マテリア株式会社(以下:淡路マテリア)は、共同で、疲労耐久性が高いFe-Mn-Si系新合金を用いたビル用制振ダンパーを開発した。

この制振ダンパーは、長周期・長時間地震動などによる変形に強く、安定した性能を保てるため、建物の耐震性能余裕度が向上。ダンパーの交換等をせずに、建物の制振性能を長期間維持することができるという。

(画像はプレスリリースより)

「JPタワー名古屋」に16基配置

制振ダンパーの心材であるFe-Mn-Si系新合金は、NIMSが、鉄を主成分として高濃度のマンガンやケイ素等を加えて開発したものだ。一般的に使われている鋼材の約10倍の疲労耐久性を有し、延性、耐腐食性も優れているという。

従来のFe-Mn-Si系合金はマンガンを高濃度に含むため、建築で使用する大型部材の製造は困難だったが、疲労緩和に有効な微細結晶組織を有し、Mn濃度を低下させた新成分合金を開発。大型化と量産化が可能になった。

新合金を用いた制振ダンパーは、日本郵便株式会社と名工建設株式会社が建設計画を推進している40階建て、高さ約196mの「JPタワー名古屋」に16基配置されている。

(画像はプレスリリースより)

従来のダンパーと併用してBCPに優れた建物を提供

開発にあたっては、新型ダンパーの最適形状設計と性能評価を竹中工務店が、新合金の製造技術開発を淡路マテリアが担当。また、Fe-Mn-Si系合金初の電気炉溶解とダンパー心材用素材板の製造は、日本高周波鋼業株式会社が実施した。

今後は、新たなビル用制振ダンパーを、従来のオイルダンパーや摩擦ダンパーなどと合わせて使用。超高層建物の長周期・長時間地震動対策として、BCP(事業継続計画)の観点から優れた建物を提供していくとしている。

▼外部リンク

 

新合金を用いたビル用制振ダンパー開発
http://www.takenaka.co.jp/news/2014/05/01/index.html

株式会社 竹中工務店
http://www.takenaka.co.jp/

独立行政法人物質・材料研究機構
http://www.nims.go.jp/

淡路マテリア株式会社
http://www.awaji-m.jp/

日本高周波鋼業株式会社
http://www.koshuha.co.jp/

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