厚生労働省は5月2日、「建設産業と雇用の動向に関する長期分析」を公表した。労働市場分析レポート第33号として、建設業界の雇用状況について取りまとめたもの。
建設業界における人手不足が問題となっている。平成9年をピークに、建設就業者は減少する一方だ。特に若年層の建設業離れが深刻である。
業種別では、公共投資削減政策の影響で、土木工事業の就業者数が大きく減少した。アベノミクス政策で公共投資額が増加したものの、土木業就業者は緩やかに減少し続けている。
(画像は、厚生労働省「建設産業と雇用の動向に関する長期分析」より)
就業人口の減少では、建設業界で働く人たちの高齢化も懸念される。建設産業は他の産業に比べて、55歳~64歳の人たちが占める割合が飛び抜けて高い。
特に人口数の多い団塊の世代が、現在引退しつつあるのも、就業者数減少の原因の一つと指摘されている。
建設業界でも少子高齢化が進んでおり、このまま若者離れ高齢者の引退が続けば、建設産業は著しく衰退する恐れがある。
このための対策として、次世代へ向けた技能の継承、人材の確保と育成の強化、バランスのとれた就業者の年齢構成などが重要だ。
中でも技能の継承や職場教育は最重点課題に挙げられるだろう。安全面に十分に注意を払う必要がある建設産業では、技能の継承と同時に、安全意識が世代を超えて共有されていなければ、重大な事故を引き起こす危険がある。
分析レポートでは、建設産業の魅力を高めるための長期的な計画が必要と述べている。人材育成が職場環境の改善につながると強調しており、継続して実施できる事業計画を立て、計画的に人材育成、職場環境の改善、高齢世代が活躍できる場の確保などを進めるべきと提言した。
▼外部リンク
厚生労働省「建設産業と雇用の動向に関する長期分析」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite02.pdf