清水建設は、4月7日、国内で初めて非常用エレベーターを避難誘導に使用する「高層病棟避難安全システム」を開発・実用化したことを発表した。
これまで、避難は階段利用が原則で、自力で避難できない患者の場合では、どの階においてもバルコニーへ一時的に退避しなければならなかった。一方、都市部の大規模病院での改築においては、病棟を高層化する傾向があり、安全な避難システムのニーズが高まっていたという。
このシステムは、順天堂、早稲田大学との共同研究によって実用化したもので、都心部における高層の病院に対応し、火災が発生した際でも、安全・確実な避難を可能にした。なお、適用第1号は文京区本郷の順天堂医院(仮称)B棟高層棟だ。
(画像はニュースリリースより)
新開発のシステムは、建物のフロアを複数のブロックに分割する水平防火区画があり、分割された各ブロックには、非常用エレベーターを設置している。
火災発生時には、フェイズ管理型防災システムが火災を早期に検知し、自動で防火区画の閉鎖や防排煙設備の起動を行い、患者を煙から守るという。
従って、看護師らは従来のように防火設備の起動をすることなく、患者をスムーズに避難させることができ、消防隊も非常用エレベーターを使って火災発生現場へ向かうことが可能だ。
順天堂医院(仮称)B棟高層棟は高さ99.72メートル、地上21階建て、各フロア1,360平方メートルの中に、21室、42病床を設けている。火災発生時には、出火側区画で排煙し、非出火区画側の廊下に給気をすることで、非出火区画の約175平方メートルが一時避難エリアに適用となる。
なお、今回のB棟高層棟は、東京消防庁の新指導基準「高層建築物における歩行困難者等に係る避難安全対策」に基づく措置における、認可第1号だ。火災初期において、非常用エレベーターを、消防活動以外の用途で避難誘導できることが認められたものである。
▼外部リンク
清水建設・ニュースリリース
http://www.shimz.co.jp/news_release/2014/2014003.html
順天堂・ホームページ
http://www.juntendo.ac.jp/
早稲田大学・ホームページ
http://www.waseda.jp/top/index-j.html