株式会社日立製作所(以下:日立)と日立GEニュークリア・エナジー株式会社(以下:日立GE)は、大規模な自然災害発生時においても、沸騰水型原子炉を、電源を用いずに長時間冷却し、放射性物質の放出を抑制する空冷技術を開発した。
この技術の特徴は、まず、原子炉を空気冷却するための空冷熱交換器を構成するステンレス製の伝熱管と伝熱フィンの表面に、マイクロメートルサイズの微細な凹凸加工を施すことにある。
生成された凹凸部分には、空気の流れが小さい粘性底層ができるため、ここに熱が密集する。このように形成された高温の空気層に対して、外気を流し入れることで熱を一気に取り除くという仕組みだ。
(画像はプレスリリースより)
表面の凹凸加工技術は、薬液で処理する簡易な湿式加工で、伝熱フィンなどの複雑な形状の伝熱管も容易に加工することができる。
これにより、原子炉の冷却に必要な伝熱管の本数は約2分の1に減少。空冷熱交換器の体積も約2分の1に小型化し、これまで設置不可能だった所にも空冷熱交換器を設置することが可能となった。
(画像はプレスリリースより)
詳細は、3月26日から28日まで、東京都市大学で行われる「日本原子力学会2014年春の年会」で発表する。
今回開発した空冷技術は、新規建設の原子炉だけでなく、既設原子炉の一部機器や、他の産業製品へ適用することも視野に活用していく予定だという。
日立グループは、今後も、二酸化炭素を排出しない、環境負荷の小さいエネルギーの安定供給をサポートし、安全性の向上を図りながら、原子力発電事業に貢献していきたいとしている。
▼外部リンク
原子炉自然冷却システムの実用化に向けた空冷技術を開発
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
http://www.hitachi-hgne.co.jp/