Hitz日立造船株式会社(大阪市住之江区)は、国土交通省近畿地方整備局(大阪市中央区、以下、近畿地方整備局)が発注する天ヶ瀬ダム再開発主ゲート設備他新設工事を受注したと発表した。
この再開発事業は、この数年来、全国的に発生する豪雨による洪水被害対策のために進められるものだ。
ダムを新設するにしても候補地に窮し、あるいは予算的・環境的にも厳しい現状にかんがみ、既存ダムを再開発して有効利用を図ろうとする手法が近年注目を集めている。
この開発事業は近畿地方整備局が、宇治川及び淀川における大量の降雨の安全な流下、それと同時に琵琶湖に貯溜された洪水の速やかな放水、あるいは水道用水の確保及び発電能力の向上等々を目的に進められている。
具体的には、ダム堤体を迂回させ流水するバイパストンネルを建設し洪水調整機能の強化を図るべく着工中だ。
他方、その設備は、主ゲートとしての高圧ラジアルゲート2門(幅3.6m×高さ4.9m)、副ゲートの高圧スライドゲート2門(幅3.6m×高さ6.0m)等から構成され、水路トンネルとしては国内最大規模であることから下流の騒音、水勢に配慮した結果、トンネルのほぼ中央部に設置予定だ。
天ヶ瀬ダムは治水および上下水道供給、水力発電を目的とした多目的ダムであり、とりわけ2府1県(大阪府、京都府、滋賀県)をその流域とする1級河川・淀川(京都府内・滋賀県内では宇治川)エリアに建設された唯一のダムであることを考えれば、その意義はまことに大きい。
同社は、1923(大正12)年、水門事業開始以来、国内外で水門、可動堰、水圧鉄管などをはじめとする水力関連設備に実績多数で、ダム再開発向けの事業として鶴田ダム上流仮締切設備を既に納め、国内の水門メーカーとしてトップレベルの実績を誇る。
2016(平成28)年までの長期ビジョン「Hitz 2016 Vision」の中で「社会インフラ整備と防災」を事業領域の一つに掲げ注力している。
同社は、水門事業、GPS海洋ブイ事業、橋梁事業などの事業推進によってインフラ整備及び防災・減災対策に、国内外問わず積極的に貢献したいと意気込んでいる。
今回受注の工事概要は以下の通り。
2.工 事 名:天ヶ瀬ダム再開発主ゲート設備他新設工事
3.設 備:高圧ラジアルゲート2門(幅3.6m×高さ4.9m)、 高圧スライドゲート2門(幅3.6m×高さ6.0m)小容量放流設備1式、放流管設備1式
4.納 期:2016(平成28)年2月
5.製作工場:同社堺工場(大阪府堺市西区築港新町)
6.受注金額:21億300万円(税抜き)
▼外部リンク
日立造船株式会社 プレスリリース
http://www.hitachizosen.co.jp/release/2014/03/001180.html