独立行政法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」)は3月19日、「CIGS太陽電池モジュール」を開発したことを発表した。
新開発モジュールは、封止材をアイオノマーに替えることで、長期のPID(太陽電池モジュール・システムの出力)試験(AIST法)においても劣化しないのが特長だ。
日本では、太陽光発電システムの導入が加速中。しかし従来のモジュールでは、PIDが大幅に低下するデメリットも指摘され、安価で長期使用可能なPID対策技術が求められていたという。
(画像はプレスリリースより)
PID試験(AIST法)により、結晶シリコンならびに薄膜シリコン太陽電池モジュール、標準型CIGS太陽電池モジュールの3種類を比較した。結晶シリコン太陽電池モジュールや、薄膜シリコン太陽電池モジュールでは短期間で出力が低下した。
一方、標準型CIGS太陽電池モジュールでは、1週間後でも高いPID耐性があった。さらに、CIGS太陽電池モジュールの劣化の原因は、カバーガラスから拡散するナトリウムイオンなどであることが判明したという。
また、PID試験前後の標準型モジュールとPID対策モジュールの出力相対値の変化を調査したところ、標準型では、PID試験2週間後に約30%低下したのに比べ、アイオノマーを用いたPID対策モジュールでは、試験28日後においても出力は全く低下しなかったという。
今回の成果は、太陽光発電システムの導入拡大や長期信頼性向上へつながるとし、CIGS太陽電池モジュールのさらなる導入を加速させるものだと位置づけている。
今後も産総研は、他のPID試験方法での評価や屋外モジュールとの比較など、メカニズムの解明につとめていく構えだ。
▼外部リンク
産総研プレスリリース
http://www.aist.go.jp/