国土交通省は9日、耐震性が不足しているマンションを取り壊し、同じ敷地で建て替える場合、容積率を緩和して、増床できるようにする方針を決めた。どのくらい緩和するかは国が定める基準を基に今後、自治体が判断するが、24日召集予定の通常国会に「マンション建て替え円滑化法改正案」として提出する。
(内閣府 規制改革推進室会議資料より)
容積率は土地に対してどのくらいの大きさの建物を建てられるかを示した値で、地方自治体が都市計画で上限を定めている。
今回の改正案では、耐震性が不足しているマンションを取り壊し、同じ敷地で建て替える場合、例外として容積率を緩和することを唱えており、現状で容積率を上限いっぱいまで使っているマンションでも、階を増やすなどして増床することができるので、この増床分を売却して、建て替え費用の一部に充てるといった具合だ。
自治体によっては、景観上の問題などから建物の高さ制限を設けている場合もあり、容積率緩和との兼ね合いが今後、課題となるケースがあることは予想されるが、同省では住民の合意形成や費用負担の問題をクリアにすることで、耐震性が不足した老朽化したマンションの建て替えを促進したい意向だ。
また、耐震性が不足しているマンションを取り壊す場合、現状では取り壊した後、建て替えをする場合は区分所有所の8割の同意、または建て替えずに敷地を売却するだけの場合は全員の同意が必要となっているが、同改正案にはマンションを取り壊した後、敷地を売却する場合でも、建て替えの際と同じ8割の同意が得られれば解体を行えるといった緩和策も盛り込んだ。
現在、震度6強以上の大規模地震で倒壊する危険性が指摘されている老朽化マンションは全国に約106万戸あるとされており、全体の6分の1を占めている。
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内閣府 規制改革推進室
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