東京電力と三菱重工業、三菱商事など三菱グループ3社が共同で、福島県内に「石炭ガス化複合発電(IGCC)」とよばれる最新鋭の石炭火力発電設備を2基建設することが24日、各紙の報道などで明らかになった。
詳細は東電が年内にまとめる総合特別事業計画(再建計画)の改訂版に盛り込まれるもようだ。合計出力は100万キロワット規模で、総投資額は3000億円。政府も補助金拠出を検討するもようだ。
老朽火力からの切り替えにより、燃料費を抑制できるほか、新しい発電所の建設工事や運転・保守による新たな雇用を創出することで、原子力発電所事故で被害を受けた地域の復興の後押しも目指す。
最新鋭の石炭火力発電所を建設するのは、東電や東北電力が出資する常磐共同火力(東京・千代田区)の勿来発電所(福島県いわき市)と、東電広野火力発電所(同県広野町)で、各々の発電所の空き地に出力50万キロワットの規模で1基ずつ建設すると見られている。
新型の石炭火力発電設備には、石炭をガス化してガスタービンで発電後、廃熱を利用して蒸気を発生させて蒸気タービンでも発電する複合システムが導入されており、従来の石炭火力に比べ約2割発電効率が向上するという。
三菱重工と三菱商事が4割強ずつ、三菱電機が1割、東電は1割未満の出資比率で事業主体となる特定目的会社(SPC)を共同で設立し、事業費の大部分をプロジェクトファイナンスで調達するもようだ。発電設備の運営は東電が担当する。
電力自由化に備えた自社の生き残りのため、福島県の経済復興・雇用回復の面からも、同県浜通り地区に最新鋭の石炭火力発電所の建設を急ぐ資金力の乏しい東電と、最新の発電技術を海外の電力ビジネスに生かし、世界展開を狙う三菱重工側の思惑が一致したようだ。
東電は引き続き、柏崎刈羽原発(新潟県)の稼働を目指しながら、石炭火力の建設やガス火力の効率化を進める意向で、老朽化火力の建て替えなどは外部企業に委ねる方針を打ち出している。
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