国立大学法人九州工業大学大学院生命体工学研究科の早瀬修二教授は、次世代の太陽光発電として研究を進めている「色素増感太陽電池」について、ウシオ電機株式会社の協力を得て、円筒型セル構造の完全封止に成功した。電解液漏洩のない構造にしたことによって、高耐久性で低価格の色素増感太陽電池の実現が期待されている。
色素増感太陽電池は1991年にスイス・ローザンヌ工科大学のグレッツェル教授が開発した。従来のシリコン系太陽電池とは全く違う新しい太陽電池であった。酸化物半導体と有機色素からなっており、低コストプロセスである塗布によって太陽電池が作製できる。そのため良好な発電効率を得ることができ、コスト減の有機系太陽電池として注目されている。
現時点でのエネルギー変換効率の最高値は11.9%で、次世代の太陽電池として欧州・米国・日本を中心として開発を行っている。
(画像はプレスリリースより)
今回の成果は、独立行政法人科学技術振興機構研究成果展開事業戦略的イノベーション創出推進「有機材料を基礎とした新規エレクトロニクス技術の開発」においての研究課題「フレキシブル浮遊電極をコア技術とする新太陽電池分野の創成」の一環として得られた。
国立大学法人九州工業大学は高価な透明導電膜基板を必要としない太陽電池の開発を進めてきた。透明導電膜の代わりに金属浮遊電極を用いている。フレキシブルな金属浮遊電極を使うことができるため、いろいろな形の太陽電池を作ることが可能となった。
すでに円筒型の太陽電池も作製できることを、実証している。従来の透明導電膜基板を使うプロセスでは非常に作りにくい形であるが、容易に加工できる金属電極を使うことによって、作製が簡単になった。
▼外部リンク
独立行政法人科学技術振興機構
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20131031-2/index.html