鹿島建設株式会社と、国立大学法人千葉大学は、屋上緑化技術「屋上はらっぱ(商標登録出願中)」を開発し、千葉大学けやき会館屋上に設置した。
現在は都市化が進んでおり、まちなかの空き地が急速に減っている。そのなか鹿島建設と千葉大は共同で、近隣植生と日用の廃材によって整備する市民参加型の新しい屋上緑化デザインを作り出した。一般的には自動潅水装置やプラスチック製資材を用いて、樹林の形成を目的とした画一的な屋上緑化が普及している。しかしコストや維持管理荷重等の課題があり、市民のデザインや施工への参加も限られている。
(画像はプレスリリース)
「屋上はらっぱ」は市民が自ら地域生態系を調査し、リサイクル資材の収集、デザイン、施工を実施し、自らが「緑」を作る楽しさを体験することができる。また環境に配慮しており、低コストで軽量な屋上緑化工法だ。また屋上にはヒバリやスズムシなどの草地を好む生物が生息する可能性が高いため、生物多様性にも貢献できる。
また既存建物屋上の未利用空間に、周辺地域から採取した植生種子を使って、地域固有の草地を復元している。これによって、各地域の特性に応じた草地を屋上に新たに創り出し、地域の生物多様性保全に貢献することができる。
材料は建設産業から発生するコンクリートや瓦の再生資材、生活から発生する古着や、乗用車の廃タイヤを再利用することによって、ゴミやコストの削減を実現し、循環型社会の形成に資する新しい屋上緑化を提案する。
なお「屋上はらっぱ」は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2013年度グッドデザイン賞」を受賞した。評価された点は、慣れ親しんだ空き地に見るような自然の姿が、人に緑化の本当の意味と自然のありがたみを伝える力があると感じる点だ。
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