安倍晋三首相は19日、視察先の福島県南相馬市で、東日本大震災の被災地でまちづくりを加速させるため、県や市町村による用地取得の手続きを簡略化して、手続き期間を大幅に短縮する特例措置を講じる方針を明らかにし、復興庁が特例措置「用地取得加速化プログラム」をまとめたことも公表した。早期着が求められる住宅再建や防潮堤建設などの復興事業にはずみがつきそうだ。
(復興庁HPより抜粋)
今回の特例措置は、所有者不明の土地の調査などに時間がかかり、公共事業用地の取得が進まず、復興事業に支障が出ている現状に対応するもの。
通常、県や市町村による土地収用に向けた申請書類作成期間は通常1~2年とされているが、書式の簡素化や関係省庁による業務支援によって、所有者不明の土地を約4カ月で取得できるようにする。
さらに特例措置では、財産管理人の候補者として福島、岩手、宮城3県で弁護士など約500人を確保し、土地所有者に代わり家庭裁判所が選んだ管理人が売却などを行う「財産管理人制度」の活用も提唱。裁判所の選任手続きを簡素化し、半年程度とされる期間を最短で3週間程度にする。
沿岸の被災地では防災集団移転による住宅再建、海岸防潮堤の大規模化、防災緑地や道路の新設などの公共事業を進めるため、膨大な土地が必要だが、復興事業の用地取得は遅れ気味で、平成27年度の完成を目指している防潮堤建設の用地取得率は現時点で5割程度だという。
安倍首相は記者団に「被災地の住宅再建、まちづくりで一番難しい問題は土地の確保。被災地の特殊事情に鑑み、特区的な施策として実施する」と述べ、新しい取り組みを活用して、復興事業造成工事の早期着手を誓った。
▼外部リンク
復興庁(用地取得加速化プログラム概要)
http://www.reconstruction.go.jp/