2018年2月28日、日立造船株式会社(以下、日立造船)は、国立大学法人京都大学の京都大学防災研究所および東洋建設株式会社(以下、東洋建設)と共同で、着床式洋上風力発電施設の基礎施工において、「サクションバケット基礎工法」(以下、同工法)の適用に取り組んだと発表した。
着床式洋上風力発電施設の基礎を築くための、代表的なモノパイル基礎工法は欧米で実績があるが、杭を海底に打ち込む方式のために、杭の根入れに適切な堆積層の厚みが30m程度必要であり、岩礁や十分な堆積層の厚みが見込めない海域が散見される日本の沿岸海域では、技術と費用の両面で制約を受ける。
同工法は、杭を海底に打ち込むことなく、バケット内部を排水することによって、静水圧以下の状態にして、海底面下に貫入する。また、発電事業が終了して撤去する場合には、貫入時とは逆方向に加圧することで、完全に撤去できる。
このため、日立造船の試算では、堆積層が薄い海域で用いられてきた重力式基礎と比較してコストを抑えることができ、モノパイル基礎工法と比較すると、杭を打設して設置するための大型重機が不要であり、構造物の鋼材を軽量化できる。
なお、同工法に関する検討は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の風力発電等技術研究開発/洋上風力発電等技術研究開発/洋上風力発電システム実証研究(低コスト施工技術調査研究)の委託を受けたもので、日立造船は、同工法の設計検証方法の研究開発およびコスト調査と分析を担当する。
また、京都大学防災研究所は、同工法の構造物と海底地盤の挙動における研究開発、東洋建設は、同工法の施工に関する技術研究開発を担当する。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
日立造船 ニュースリリース
http://www.hitachizosen.co.jp/news/2018/02/002975.html