東日本大震災の復興工事の急増で、建設業界では深刻な人手不足が問題となっているが、さらにこの状況の中で、2020年に開催が決定した東京五輪のインフラ整備が加わることになったため、全国的に人材の確保が難しくなると予想され、就業者の拡充を急ぐ必要が出てきた。被災地や東京以外でも危機感が高まっている。
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このような背景もあり、厚生労働省と国土交通省は連携して、建設業界に賃金水準の向上を求めるなど人材確保策を進めている。
その一環として、厚労省では、建設業への職業斡旋(あっせん)の強化に乗り出した。
今月から建設作業員の求人と求職のマッチングを重点的に行うとし、各都道府県で1カ所ずつ、被災地の岩手、宮城、福島は複数カ所のハローワークを指定した。
指定を受けたハローワークでは、賃金や就労時間など、求職者のニーズを踏まえた雇用条件を設定するよう、企業に助言を行うとともに、新規雇用や若者の職業訓練を促す国の助成金の活用なども提案する。
また、建設関連の資格保有者に対しても、最新の求人動向を情報提供するなど、広域での求職、求人のマッチングも行っていく。
国交省によれは、公共事業の減少などにより、建設業許可業者数は平成11年度(ピーク時)の約60万1千社から24年度には約47万社にまで減少し、従事者も100万人以上少なくなったとしている。
建設業就労者の高齢化も進んでおり、世代別で見ると、24年の建設業就労者の3割が55歳以上で、29歳以下の若者はわずか1割にとどまった。
「3K(キツい・汚い・危険)」のイメージが強い建設業界ではあるが、建設産業の社会における使命や役割について、学校などを通して、しっかり学ぶ機会を作り、若者が就労したいと思える作業環境を整えることが急務と言える。
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