東レ株式会社は、有機薄膜太陽電池において、単層素子としては世界最高のレベルとなる10%超の変換効率を達成した。なお変換効率とは、太陽光を電気に変えるエネルギー変換効率のことだ。
東レは今回、独自のポリマー設計技術と有機合成技術をによって、芳香族ポリマー系ドナー材料を新たに開発した。本ドナー材料は、発電メカニズムを詳細に解析しながら開発を行い、化学構造を最適化して配向性を高度に制御した。そうすることによって、光吸収特性と導電性を高い次元で両立した。
これによって、非加熱塗布の単層素子において、10%を超える変換効率を得ることに成功した。 今回の成果は、太陽電池素子の発電性能とドナー材料の配向特性を明らかにし、有機薄膜太陽電池の実用化に向けて新たな指針を提供するものだ。
(画像は東レ株式会社 プレスリリースより)
有機薄膜太陽電池は、他の太陽電池と比べると最も薄く簡便に作製することができるため、低コスト化が実現できる可能性が高い。また軽量で柔軟性があるという特長を生かして、建造物の壁面への利用や車載用など、新たな用途へ期待されている。しかし従来の発電材料では変換効率が低いため、有機薄膜太陽電池の実用化に向けて課題となっている。
しかし新たに開発された有機薄膜太陽電池は発電層が厚いため、高効率化だけでなくリーク破壊が起きにくい。また他の方式に比べると構造がシンプルであるため、従来と比べると耐久性と低コスト製造が期待される。
東レは今後材料技術を早期に確立していき、有機薄膜太陽電池の実用化に向けて検討を図る。東レのコーポレートスローガンである「Innovation by Chemistry」を具現化する先端材料の開発を推進していき、2015年頃の実用化を目指す。
▼外部リンク
東レ株式会社 プレスリリース
http://www.toray.co.jp/news/rd/nr130920.html